今日もいつも通り、早朝から起きて裏庭で鍛錬を行っているグレン。いつもと異なるのはその動き。激しい動きは抑えて、ゆっくりと一つ一つの動きを確かめるようにして、それを行っていた。 「何だか自分の体じゃないみたいだ」 自分の体の違和感にかなり戸惑…
合宿所で一晩を過ごした後は、いよいよ本格的な調練が始まる。 初日は山頂に向かっての登山。いくつかの集団に分かれて、それぞれが決められたルートで山頂のゴールを目指すのだ。登山と言ってもそれなりに整備された道を進むことになるので、体力のある生徒…
「僕と勝負しろ!」 「……はあっ!?」 突然、勇者に勝負を申し込まれたグレンは、惚けた声を出した後、その場に固まってしまった。 グレンもこの展開は予想していなかった。出来るわけがない。勇者の存在など眼中になかったのだ。 「僕と勝負しろ。僕に勝っ…
一、二年生が一緒に参加する学院行事である強化合宿。それが行われる山中の合宿所はジグルスが思っていたのとは違って、実に快適な場所だった。 立ち並ぶ宿泊施設は王都の下手な住居より遙かに立派な建物。建物の中も綺麗に整えられている。詰め込まれて寝る…
王国騎士団の調練場は、官舎のすぐ横にある。国軍のそれよりも遥かに広大な敷地だ。騎士団が国軍より格上だからという理由もあるが、それだけでもない。王国騎士団が保有する騎馬部隊の調練をするには、広い敷地が必要だという事だ。 この広大な調練場は、今…
ヒューガくんの鍛錬を始めて一週間。鍛錬の内容は変えていません。土台をしっかり作らないと本当の意味での強さなど手に入りませんからね。 ヒューガくんは文句を言いながらも、地味な鍛錬を黙々とこなしている。本質的に努力というものが好きなのかもしれま…