ギルド長が自分の執務室に戻ると、セレがソファーに座って、ゆったりとお茶を飲んでいた。何を勝手に、なんてことをギルド長は言わない。こうしたことはこれが始めてではないのだ。 とはいえ、セレがギルドを訪ねてくるのは久しぶりのこと。その久しぶりの訪…
ヒューガは、物事が一気に慌ただしく動き出しているのを感じていた。 冬樹は貧民区に行ったきり。ギゼンの下で鍛錬に明け暮れている。かなり厳しい鍛錬であることは、すっかりやつれた冬樹の姿で分かる。それでも冬樹自身は充実感を覚えているようで、会うた…
勇者の呼び出しを受けたと思ったら、今度は国王。ヒューガは騎士に案内されて謁見の場に向かっている。 このタイミングで何故、国王に呼ばれたのか。もしかするとディアとのことがバレたのかもしれないと考えて、ヒューガはかなり緊張している。 案内された…
季節は春。王国学院の教師たちにとって、もっとも忙しくて大変な時ではあるが、初々しい新入生を迎える事で、気分は一新、どこか気持ちが湧き立つ時期でもある――例年ならば。 今年に限って職員室では、一学年クラスを受け持つ担任たちが、学年主任を中心にし…
ヒューガは勇者から呼び出しを受けた。無視したいところだったが、それを伝えに来たのはローズマリー王女の侍女。誘いを無視すれば、それはローズマリー王女に無礼を働くことになる。 今更、彼女に嫌われることを恐れているわけではない。今は大事な時期。必…
月の文庫ブログにて掲載している小説の一覧です。話数が増えてくると、ブログ形式では第一話を探すのが面倒かと思って、このページを用意してみました。 ※2019年11月20日「全話一覧」へのリンク追加 少しずつですが掲載小説は増やしていきたいと思っています…