一段突き抜けた。今のアリシアはそんな状態だ。猛獣相手とはいえ、命の危険は感じる実戦を経験した。これが大きい。ケルの助けはあったとはいえ、危機を切り抜けられたことでアリシアには自信が生まれた。これまでの努力は確実に実を結んでいると思えた。こ…
ミッテシュテンゲル侯爵家が保養地として使っている私有地。湖の畔に建てられたそれは正に別荘そのもの、それも驚くほど豪華な施設だった。 当たり前だ。それに驚いているのはアリシアくらいで、他の参加者は何の感動もない様子だ。王家と守護家の彼らにとっ…
学院生活の状況が、アリシアにとっては良い方向に、一気に傾くことになった。アリシアを、ある意味、サマンサアンよりも強く敵視していたフランセスが、その態度を一変させたことがその理由だ。 自分を助けてくれたアリシアに恩を感じて、というのがフランセ…
レグルスがアリシアに隠していることはいくつもある。その中の、割と大きな隠し事のひとつが商売を行っていること。特にやましいことがあって隠しているわけではない。行っている商売は、レグルス自身が始めたくて始めたものではない。なんだかよく分からな…
アリシアに対する虐めの激しさを知ったレグルスの反応は、彼女が心配した通りであり、それでいて少し異なるものになった。これを彼女が知るのは、ずっと先のこと。その時まで、レグルスが隠し続けていたのだ。実際にはレグルスは、さらに先まで隠し続けた。…
ゲームが始まった。とっくに物語は始まっているが、アリシアがよく知る状況が始まったということだ。最初は小さなことからだった。実技授業を終えて更衣室で制服に着替えていたら、普段履きの靴がなくなっていた。仕方なく、実技授業で使う戦闘ブーツのまま…