ノートメアシュトラーセ王国軍部の重臣たちを集めた会議。その場は重苦しい雰囲気に包まれている。また新たな軍事上の難題が沸き上がってきたのだ。ベルクムント王国との戦いを勝利で終わらせた中央諸国連合。だがそれで本当の終わりとはならなかった。さらなる戦いを、今度はベルクムント王国ではなく中央諸国連合の加盟国が求めてきたのだ。
ここで時間をあければ、ベルクムント王国は国力を回復させ、さらに強力な軍勢を送ってくるに違いない。それを許さない為には、さらなる打撃をベルクムント王国に与える必要がある。加盟国の主張はこうだ。
納得出来る内容ではある。ただこれを主張しているのがノイエラグーネ王国であるという点が、重臣たちが頭を悩ませている理由の一つ。ノイエラグーネ王国はベルクムント王国への内通が疑われている国。その主張をそのまま受け取る気にはなれない。
「現時点ではノイエラグーネ王国に怪しい点は見つかりません。だからといって潔白であることも証明出来ておりません」
隠者ルーカスの調査結果をアーテルハイドは会議の場で報告している。成果はなし。怪しい動きが何もないので、何も見つけることが出来ないのだ。
「罠である可能性は否定出来ないか……」
判断を下す材料は何もない。これではディアークもどうしようもない。
「ただ全く何もなかったかというと、そういうわけではありません。この話があがってくる前に、パラストブルク王国のゴードン将軍がノイエラグーネ王国を訪問したようです」
「ゴードン将軍? どのような用件で?」
パラストブルク王国のゴードン将軍とノイエラグーネ王国の結びつきなど、ディアークは初めて聞いた。それぞれ中央諸国連合の東と西に領土を持つ両国。どちらかといえば、中央諸国連合として東西どちらの守りを優先させるかで、対立する立場なのだ。
「軍事上の意見交換という話です」
「つまり、この件の出所はノイエラグーネ王国ではなくパラストブルク王国ということか?」
「状況はそれを示しております」
普段交流のないパラストブルク王国がゴードン将軍を使者として送り、そのすぐ後でこの話が出てきた。関連があると考えるのは当然のことだ。
「だが何故だ? 何故、パラストブルク王国がベルクムント王国との戦いの継続を望む?」
西に軍事力を傾ければ、その分、東が手薄になる。パラストブルク王国にとって望ましくない状況であるはずだ。そうであるのにパラストブルク王国は西のベルクムント王国との戦いの継続を求めている。ディアークにはその理由がまったく思いつかなかった。
「ノイエラグーネ王国は本格的な逆侵攻を求めているわけではありません。ベルクムント王国の国力回復を遅らせる為の戦いを行うべきという主張です」
「……小競り合いを繰り返せと? それは中央諸国連合の国力を削ることにもなる。そんなこともパラストブルク王国は分からないのか?」
戦争にはお金がかかる。他国への遠征となれば尚更だ。戦いが長く続けば、もともと国力が高いとは言えない中央諸国連合はベルクムント王国以上に苦しくなる可能性がある。
「分からないはずはないと思います」
分からないはずはない。中央諸国連合は国力の不足を補い合う為に出来上がった同盟だが、それでも両大国には劣る。これは加盟国全てが持っている認識なのだ。
「パラストブルク王国もまた内通している可能性は? パラストブルク王国の場合はオストハウプトシュタット王国だな」
オストハウプトシュタット王国の侵攻を容易にする為に、中央諸国連合の軍事力を西に傾けさせる。策としては充分にあり得るものだ。
「それについては調査を進めております。ただそれも果たして証拠を見つけられるものか」
「実際にオストハウプトシュタット王国が動き出して初めて分かることか……」
内通の証拠を掴むのは容易ではない。実際に内通していたとしても、疑いを持たれる可能性の高いこの話が表に出たからには。両国がこの先、接触することはないはず。分かるのは策が動き出してからになってしまう。
「両国とも内通の証拠があがらないまま、連合内での話し合いが始まることになると思われます」
「他の国はどう出ると思う?」
「西部の国々はノイエラグーネ王国に同調する可能性があります。東部は反対すると思うのですが、パラストブルク王国が賛成に回ると全体としてはどうなるか……パラストブルク王国がどのような主張を行うつもりかも気になります」
ノートメアシュトラーセ王国としてはこの提案は否決となって欲しい。だが軍事上の主力であるアルカナ傭兵団を抱えているとはいえ、ノートメアシュトラーセ王国も加盟国の一つに過ぎない。多数決での一票でしかないのだ。
「賛成多数になった場合にどうするか、だな」
否決に持ち込む策がないわけではない。アルカナ傭兵団として仕事を受けないという方法だ。アルカナ傭兵団の力抜きにベルクムント王国と戦うという覚悟は、加盟国にはないはず。一度は可決されても、アルカナ傭兵団が仕事を受けないことを知れば、再審議が行われ、否決になるのは間違いない。
ただその場合は、中央諸国連合の意向をアルカナ傭兵団が拒絶したという事実が残る。出来れば行いたくない選択だ。
「……ひとつ思いついた策があります。あくまでも可能性の話で、実際に実現可能かは分かりません」
アーテルハイドは前置きだけで話を区切った。言葉にした通り、公式の会議の場で説明できるような状態ではないのだ。
「聞くだけ聞こう」
ディアークも決断は保留にすることを示唆する。これはアーテルハイドに合わせただけだ。
「敵と同じ策をこちらも実施するというものです。戦争ではなく、敵を疲弊させることを目的とした謀略の類。かかる費用は戦争に比べれば少なくて済むはずです」
「それは……ベルクムント王国が行った盗賊団を使った策か?」
「はい。ベルクムント王国の従属国で同じことを行います。討伐が上手く行かなければ各国は、ベルクムント王国に応援を要請することになるでしょう」
ベルクムント王国は盗賊団を雇って、中央諸国連合加盟国の各地で活動させた。主目的はアルカナ傭兵団の上級騎士の殺害であったと考えられているが、当初は盗賊討伐で各国軍を疲弊させる為と考えられていた。それを避ける為にアルカナ傭兵団が動いたのだ。アーテルハイドはそれと同じ策をやり返すことを考えたのだ。
「傭兵団で引き受けた上で、戦いの方法は一任させるか……無理を通すというほどではないな」
一度可決されたものをひっくり返すことに比べれば、無理はない。中央諸国連合との調整は可能だとディアークは判断した。
「問題は実行出来るか。出来たとして成果が得られるかです」
ベルクムント王国は失敗した。アルカナ傭兵団が同じことを行って、成功出来るか。アーテルハイドは出来ると断言出来る材料を持っていない。
「……もっとも成功の可能性が高い方法は?」
ディアークはこの答えを知っている。知っていて、あえてアーテルハイドに問い掛けたのは、結論を待とうと考えたからだ。
「……愚者に任せることです。ただし、愚者がどこまで本気で取り組むかは分かりません」
「そうだな……」
成功させる可能性が高いのは、ベルクムント王国の策を失敗させた者に任せること。それはヴォルフリックだ。だが問題はヴォルフリックがどこまでの力を使って、これに取り組むか。彼には任務を絶対に成功させなければならないという思いはないと、ディアークもアーテルハイドも考えている。彼を真剣にさせる要素がこの任務にあると思えないのだ。
「中央諸国連合の結論が出るのはまだ先です。愚者に事前に話をしてみるのも選択肢としてはあると思いますが?」
事前の検討さえもヴォルフリックがどこまで真面目に行うか分からない。何も考えることなく成功の可能性を否定することもあり得るのだ。
「……話さないと何も始まらないな。ただ作戦の検討は別でも行うことにする。正規軍のやることではない。傭兵団に一任で良いな?」
近衛騎士団長と王国騎士団長に了解を求めるディアーク。この件で両騎士団の出番はありそうもない。それも含めて、両騎士団長に了承を求めたのだ。
「はっ」「お任せいたします」
両騎士団長に否応はない。出番がないことにまったく不満がないかとなると、そうではないのだが、謀略の類に関わることも望ましいことではないのだ。
「では作戦の検討は進めるとして、結論は中央諸国連合の出方待ちだな」
会議を閉めるディアーク。結論はまだ先であるのだが、彼の心は少し逸っている。ヴォルフリックにこの件を早く伝え、彼がどう出るかを知りたいのだ。出来れば彼には真剣に取り組んでもらい、その結果、何を仕出かすかを見たいのだ。
◆◆◆
何故このような状況になったのか。エマはそれが掴めないでいる。すぐ隣にいるロートに尋ねたいが、それも躊躇われる。エマとロートをこの場に連れてきた人は、すぐ目の前にいる。その人の前で、不安だから帰りたいとは言い辛い。なんといってもその人、その人たちはノートメアシュトラーセ王国の王家の人たちなのだ。
食堂でいつものように働いていたエマに話し掛けてきたのは、お店の常連と言っても良い人。声と足音でエマにはそれが分かった。だが今日のその人の声は、いつものような陽気なものではなかった。なんだか重苦しい、深刻そうな声。
「城に昇ってもらいたい」とその人は言った。最初言われた時、エマには意味が分からなかった。何故、貧民街の孤児である自分が、今は食堂で働く娘ではあるが、お城に行くことになるのか。そんな身分ではないのだ。
戸惑うエマにさらにその人は「断ることは出来ない。これは王室の命令なのだ」と告げてきた。ますます意味が分からない。エマと王室に関わりなどない。あるとすれば。
これを思った時、一気にエマの心に不安が広がっていった。シュバルツ絡みである可能性を考えたのだ。自分は何らかの、シュバルツが困ることに利用されるのではないか。人質、という単語がエマの頭に浮かんだ。
なんとか断ろうと考えて「今は忙しい」と答えた。だが相手は重ねて「断ることは出来ないのです」と返してきた。その時になって、ようやく事態に気付いたロートが割り込んできた。だが状況は少ししか変わらなかった。ロートが兄であることを知った相手は、同席を許してきた。「そのほうが妹殿も安心でしょう」と。
その言葉に悪意は感じられない。だからといって安心はできない。それでも断ることは出来なかった。
外に用意されていた馬車。それに乗って城に着いたエマとロートは、侍女の案内でこの場に連れてこられた。待ち構えていた人はこの国の王子ジギワルドとその母であり王妃であるオティリエだった。
「ごめんなさい。お仕事があるのにこんな場所に呼び出して」
オティリエの声に悪意は感じられない。優しい人柄が感じられる声だとエマは思った。
「私が無理を言ったせいなのです。食堂に行ったこともあるのですが、お忙しそうで話し掛けられなくて」
一国の王子が街の食堂に来ていた。まさかのことに驚いたエマであるが、ジギワルドの意図がまだ分からない。ただ自分と話をしたいから。こんな理由で城に連れてこられたなどとエマが思うはずがない。
「お分かりのように妹は目が不自由でして、失礼のないうちに帰ったほうが良いと思います」
ロートはジギワルドの態度で状況を理解している。いくらエマが美人だからといって市井の娘を、話をしたいという理由で城に連れてくるという行動は理解出来ないが。
「そのようなことは気にしません。普段通りに振る舞ってください」
こちらが気にするのだ、という言葉をロートは飲み込んだ。相手を怒らせて、それで帰してくれるというのであれば遠慮はしないが。
相手に好意があろうと、この状況はよろしくない。王子に見初められたことを喜ぶエマではない。ロートもそんなことは望まない。
なんとかしてこの場から逃れ、かつ二度と呼び出されることのないようにしたいのだが、その方法が思いつかない。こうなると頼る相手はヴォルフリック、シュバルツとなるのだが、気付かれないように使いは送ったものの彼が姿を現す気配はない。城に来られるのかもロートには分からない。
どうにも打つ手がない。そう思った時、ロートの耳に届いたのは。
「……普段通り。いきなり城に連れてこられて普段通りに振る舞える庶民がいると思っているのですか?」
「アデリッサ様……」
現れたのはアデリッサ。オティリエが名を呼んだことでそれを知ったエマとロートであるが、アデリッサが何者かは分からない。
「オティリエ様ともあろう御方が。ずいぶんと非常識なことをなさるのですわね?」
敵意むき出しの声。エマにはいきなり登場したアデリッサの意図が分からない。分かるはずがない。
「……市井の声に耳を傾けるのも必要だと思いました」
「まあ、さすがはオティリエ様。立派な心掛けですわ。その娘とは馴染みの関係なのですね?」
「いえ、違いますけど」
「初めて会う町娘が雲の上の存在である王妃に本音を話す? その自信がおありになるオティリエ様は、私とは人間の出来が違うのですね? 私の前では侍女でさえ本音を語ってくれません。寂しいことですわ」
嫌味たっぷりの言葉をオティリエに投げつけるアデリッサ。王妃であるオティリエにそれが出来るアデリッサも、それなりの地位にいる人物であることはエマにも分かった。
「アデリッサ様、お話はあとで。お客様がいらっしゃる席ですので」
「ですから、そのお客様はずいぶんと居心地が悪そう。私はこう言っているのです」
「それは慣れない場で、少し緊張はされているかもしれません」
「いずれ慣れると? 庶民というのは逞しいものですわね? 私は無理ですわ。私の大好きな中庭に、自らの住む場所に薄汚れた庶民が出入りすることに慣れることは出来ません」
「アデリッサ様!?」
エマたちを侮辱する言葉に、さすがにオティリエも声を強くする。自分を侮辱されることには耐えられるが、客として招いた二人に対する無礼は許せないのだ。
「怒るのは勝手。でもこの場所は貴女だけのものではないことを理解して頂けるかしら? 中庭だけでなく城の奥は全てよ」
「……それは……そうかもしれませんが」
「とにかくその二人には帰ってもらいます。まあ、庶民相手とはいえ無礼であったことは認めましょう。そのお詫びとして私が責任をもって、家に送るわ……獣の住処よりはマシな家よね?」
「アデリッサ様! 帰って頂くとしても私たちが送りますわ! 貴女は下がっていてください!」
重ねての侮辱に完全に怒気を露わにしたオティリエ。彼女には珍しいことだ。アデリッサがここまで真正面から喧嘩を売ってくること事態が珍しいことでもある。
「あ、あの……俺たちはすぐに出ますので」
ロートが立ち上がって、帰ると言い出した。この状況であれば、それを無礼と思われることはない。
「ええ、気分を悪くさせてごめんなさい。すぐに送るわ」
「いえ、大丈夫です。城の出口まで……送ってもらえますか?」
「えっ……?」
ロートの問いかけに驚くオティリエ。彼の視線はオティリエではなく、アデリッサに向いているのだ。
「私はすでに送ると言ったつもりよ」
「じゃあ、お願いします。エマ、行こうか?」
「うん」
立ち上がったエマの手を取って、ロートはアデリッサのほうに歩き出す。当然、手を引かれているエマも一緒に。
その様子を呆然と見つめているオティリエ、そしてジギワルドたち。何故、今のやりとりを聞いていて、アデリッサに送ってもらおうなんて気持ちになれるのか、彼女たちはまったく理解出来ないでいた。
当然、ロートがその選択をする理由はある。アデリッサがそうするように合図を送ったからだ。
「……獣の住処よりはマシな家って、不自然でしたね」
「ごめん。貧民街に暮らしている時は違和感なかったのだけど、お城で使う言葉じゃなかったな」
アデリッサが文句を言っている相手はヴォルフリック。ロートたちが気付くようにと、黒狼団で使っていたアジトを意味する隠語をアデリッサに教えていたのだが、彼女の言う通り、城での会話、それも王妃同士の会話で使うには少し無理があった。
「普通の神経であれば、もう城に連れてこようとは思わないでしょうけど、絶対とは言えないわ」
そもそも今回城に連れてきたことさえ、普通ではないとアデリッサは思っている。喧嘩を売ったのは、エマとロートをあの場から連れ出す為の演技だったとはいえ、文句を言いたかった気持ちは本物なのだ。
「今回助けてもらっただけで充分。ありがとうございます。この借りは何かで返す」
「私に借りなんて作ったら高くつきますよ?」
「返せる範囲でお願い。じゃあ、一緒にいるのを見られたら困るから、今日はこれで」
ここは城の出口に戻る途中の廊下。オティリエはまずないが、ジギワルドかその従士が追いかけてくる可能性はある。
エマとロートと三人で出口に向かおうとするヴォルフリック。
「ああ、ちょっと」
「ん? 何?」
「少し彼と話があるわ。すぐに終わるから先に出口に向かって」
アデリッサの言葉はエマとロートに向けられたもの。ヴォルフリックと二人きりで話す為の口実。それは分かっているが、エマとロートは言われた通りに歩き出した。助けてもらった恩がある。それ以前にヴォルフリックが助けを求める相手だ。二人きりにしても問題は何もないと分かっている。
「……彼女のこと好きなの?」
「えっ? そういう話?」
「真面目な話。彼女を好きという気持ちは純粋な好意? 同情は含まれていないと言い切れるのかしら?」
「同情って……そんな気持ちはない」
エマの目が不自由であることに同情して。アデリッサにそれを言われたヴォルフリックは不満そうだ。
「そんな風に決めつけないで。一度、冷静に自分の気持ちを考えてみなさい。貴方が同情と愛情を間違えることで傷つくのは彼女なの。同情でも彼女は嬉しいかもしれない。でも……いつかそれを寂しく思う日が来る。悲しく思う時が来るわ」
「……それって」
アデリッサの言葉は心からエマを心配してのもの。何故、初めて会うエマにアデリッサがそんな思いを向けるのか。自分と重ねているのではないかとヴォルフリックは思った。アデリッサとディアークの関係は、聞きたくもないのにクローヴィスから聞いている。クローヴィスはアデリッサに心を許すなという警告のつもりで話したのだが、ヴォルフリックはそう受け取っていない。
愛されていないのに子供が出来た。愛されていないのに妃として、城で暮らさなければならない。アデリッサの気持ちをヴォルフリックは考えた。これこそ同情かもしれない。同情だとしても好意に類するものであることは間違いない。
「…………」
「どうした?」
先を歩いている二人。エマが思いつめた顔をしているのに気が付いて、ロートは声をかけた。
「あの人、優しい人だね」
「ああ……第一印象は演技のせいだとしても、かなり怖かったけどな」
「でも残酷な人」
「えっ?」
「悪口じゃないの。あの人は悲しみを知っている優しい人。でも、その悲しみは……私には残酷に感じるの」
「エマ……」
エマにはアデリッサとヴォルフリックの会話が聞こえている。アデリッサが自分のことを思ってヴォルフリックに忠告してくれていることも、声を聞いて分かっている。だが、エマはヴォルフリックの気持ちをはっきりさせたくないのだ。彼の気持ちが同情から来るものではないかという恐れは、エマもずっと持ち続けている。それでも側にいて欲しい。そう思っているのだ。
この想いはアデリッサと同じもの。二人の違いは、アデリッサの場合はすでに同情であったことがはっきりしていること。その悲しみを、エマは経験したくないのだ。