次から次と馬車が到着しては荷物を降ろしていく。その荷物とそれを運ぶ人々で、校門の前はごった返している。 毎年、入学の時期に見られる光景だ。 混雑を避ける為に校門から少し離れた場所で、リオンはヴィンセントと並んで立って、その光景を眺めていた。 …
先生が拠点から姿を消した後も、ヒューガたちは厳しい鍛錬を続けている。寂しさを感じていないわけではないが、鍛錬に限っては、以前よりも気合が入っているくらいだ。先生が戻ってくることがあった時、情けない姿を見せるわけにはいかない。皆がこんな思い…
決断してからのリオンの生活は、一段と忙しいものになった。やらなければならない事は山ほどあるのだ。 まず力を入れたのは自己の鍛錬。最終手段はマリアを殺すこととしても、その力がなければ話にならない。 何といっても、魔法に関してマリアは天才と評さ…
まだわずかに雪が残る草原をホーホーの群れが駆けている。その先頭に立つのはコクオウ。一際大きな黒い馬体が陽の光に輝いていて、とても綺麗だ。 コクオウたちはある日突然この草原に現れた。何故、ヒューガたちのいる場所が分かったのか。それはルナの「ん…
「ちょっとすみません!」 リオンは、マリアに一声かけると、大急ぎで席を立ってエアリエルが座るテーブルに向かった。エアリエルの瞳は、そんなリオンをじっと見詰めたままだ。 「えっと……来ていらしたのですね?」 やましい事をしているつもりはないのだが…
目の前には多くの書物が積み重なっている。リオンは、ヴィンセントにお願いして自由時間を貰い、図書室にこもって調べものをしていた。 それはほぼ終わっている。いくら調べても新しい事実が見つかることはなく、リオンの考えが間違っていないと裏付けられた…