決断してからのリオンの生活は、一段と忙しいものになった。やらなければならない事は山ほどあるのだ。 まず力を入れたのは自己の鍛錬。最終手段はマリアを殺すこととしても、その力がなければ話にならない。 何といっても、魔法に関してマリアは天才と評さ…
まだわずかに雪が残る草原をホーホーの群れが駆けている。その先頭に立つのはコクオウ。一際大きな黒い馬体が陽の光に輝いていて、とても綺麗だ。 コクオウたちはある日突然この草原に現れた。何故、ヒューガたちのいる場所が分かったのか。それはルナの「ん…
「ちょっとすみません!」 リオンは、マリアに一声かけると、大急ぎで席を立ってエアリエルが座るテーブルに向かった。エアリエルの瞳は、そんなリオンをじっと見詰めたままだ。 「えっと……来ていらしたのですね?」 やましい事をしているつもりはないのだが…
目の前には多くの書物が積み重なっている。リオンは、ヴィンセントにお願いして自由時間を貰い、図書室にこもって調べものをしていた。 それはほぼ終わっている。いくら調べても新しい事実が見つかることはなく、リオンの考えが間違っていないと裏付けられた…
先に進むヴィンセントたちを追いかけたリオンだったが、思いがけず、早く追いつくことになった。全力で逃げなければならない状況の中で、ヴィンセントたちは立ち止まっていたのだ。 「どうされましたか?」 「それが……」 ヴィンセントたちが立ち止まっていた…
東の拠点見学会が開催された。ヒューガが想像していた以上に見学会は盛況。多くの西の拠点のエルフが参加している。それだけ東の拠点が気になっていたということだ。 まずは拠点内の見学。想像していたのとは違う荒れた建物を見て、見学者たちはかなり驚いて…