月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

異伝ブルーメンリッター戦記 第101話 これも元サヤというのかな?

異世界ファンタジー小説 異伝ブルーメンリッター戦記

 城に籠もっての防衛戦。これまでとは異なる戦いに直面して、リーゼロッテたちはやや混乱している。ただ経験がないというだけではない。襲撃してきた敵の実態が掴めていないのだ。
 当初、城の中央入口に現れた敵の数は五十ほど。やはりそれが全てであるはずはなく、時間が経過するにつれて確認される敵の数、そして場所は増えていった。

「全ての門で戦闘が行われております」

 伝令からの報告をまとめてリーゼロッテに伝えるフェリクス。ただその内容は細かいものではない。

「そう……城の外にいる部隊の状況は分かったのかしら?」

「それが、まだ……」

 城の外には多くの部隊がいる。その部隊のいくつかを呼び寄せて、外から敵を攻撃させようと考えたのだが、今のところ増援部隊が現れたという報告はない。

「考えている以上の敵が侵入していると考えるべきね?」

「その可能性はあります。しかしある程度の規模になれば、さすがに侵入に気付かないということはないと思うのですが……」

 街を囲む防壁には多くの見張りが立っている。だが敵の侵入はそれを検知する魔道具から通報されただけで、人の目では確認出来ていないはずなのだ。
 さらに街に出た捜索隊からも発見の報告は届かなかった。

「……発見出来ないことを悩んでいても何も解決しないわ。どう戦うかを考えましょう」

「はい。仮に伝令が届かなくても、異常を伝える鐘の音が聞こえいないはずはありません。増援は必ず現れますので、それまで耐えきればなんとか」

 敵の実数は掴めていないが、それでも万の敵が隠れ潜んでいるはずがない。魔人相手でも互角以上には戦えるくらいに味方の数は上回っているはずなのだ。
 ただ敵もそれは分かっていて攻めてきているのだ。

「街に炎があがりました!」

 新たな、リーゼロッテたちにとっては良くない報告が届けられた。

「火攻めか……」

 予想されていた攻撃だ。フェリクスに大きな驚きはない。街で暮らす民もいないので、一般人の犠牲者の心配も必要ない。
 ただこれも敵は分かっていることだ。

「味方の接近を阻む為のものと思われます」

「なんだって?」

「あくまでも確認出来る範囲ですが、城に続く道を炎で塞いでいるように見えます」

「そういうことか……」

 炎がどの程度の勢いなのかフェリクス自身は確認していないが、敵の目的が増援の足止めであるという推測には納得だ。

「ことごとく先手を打たれていますね? そうなると次は何かしら?」

 敵の動きはリーゼロッテたちの先を行っている。あらかじめ決められた作戦を遂行しているのは間違いなく、それを最後まで許せば負けだ。

「……攻勢を強めてくるのでしょう。問題はどこを狙ってくるか……」

 増援の足止めをした上で、城内の制圧を急ぐ。これは予測出来る。問題はどこからの侵入を狙ってくるかだ。

「……南、かしら?」

「城の南ですか? 南には門がありませんが?」

 城の南側には入り口がない。深い壕と高い壁があるその場所を侵入路に選ぶ理由がフェリクスには思い付かなかった。

「ええ。だからこそ一番守りが手薄だわ。それに城の南には、飛竜小屋がある」

「……南側の確認を! 急げ!」

 城の南には飛竜小屋がある。小屋と呼ばれているが飛竜を何匹も置いておくのだ。かなり巨大な建物だ。そこにいる飛竜を敵に奪われるとどうなるか。リーゼロッテの言葉でフェリクスもそのリスクに気が付いた。

「それでは遅いわ! 飛竜小屋に部隊を送って! それと飛び立った飛竜の迎撃許可を!」

「はい!」

「フェリクス! ここは任せるわ! 私は上に昇るから!」

 城の最上部には飛竜が発着出来る場所がある。城主が飛竜を使う時、落城した場合の最後の逃走手段として利用するもので通常は扉は閉ざされているが。
 フェリクスの返事を聞くことなく、リーゼロッテはその発着場に向かって駆け出していった。
 
「……任せるって。ブルーノ。部隊を連れてリーゼロッテ様に付いていけ。弓を忘れるな」

「分かった」

 リーゼロッテと共に戦うためにブルーノが小隊を連れて、後を追う。飛竜小屋に向かう部隊を率いるのはディルクだ。これでこの場に残る指揮官はフェリクスとクリストフの二人だけになった。

「守り切る。こんなところで終わってたまるか」

「……最悪の事態も想定しておけよ」

「分かっている。なんとしてでもリーゼロッテ様を逃がさなければならない」

 いまやリーゼロッテは反抗の象徴的存在。彼女を失えば勝ち目はなくなる。継戦さえも難しくなるかもしれない。フェリクスたちはそう考えている。

「防戦の指揮は任せる。俺は最後の手段を考える」

「あるのか?」

 飛竜を敵に奪われれば逃げることさえ難しい。少なくともフェリクスにはすぐには思い付かない。

「聞くな。考えるしかないだろ?」

「そうだな……」

 

◆◆◆

 城の頂にある飛竜の発着場。遮る壁のほとんどないその場所ではブラオリーリエ全体の様子が見渡せる。街のあちこちであがった炎は今、かなりその範囲を広げている。外にいる部隊は消火活動を行っているかもしれないが、炎の勢いは増すばかり。消火を行っていても、リーゼロッテの目には効果が出ているようには見えない。
 炎は街を焦がしているだけではない。リーゼロッテが、指揮所としていた奥の廊下にいた時には報告は届いていなかったが、城でも火が燃え上がり始めている。
 落城間近の光景。そうとしか思えないブラオリーリエの様子を眺めるリーゼロッテの胸には、悔しさと悲しみが広がっていた。

「……リーゼロッテ様。いつまでもここにいるのは危険です。中に入りましょう」

 ブルーノが城の中に入るように勧めてくる。いつ奪った飛竜を使って敵が現れるか分からない。迎え撃つにしても、城内に続く扉を閉めて敵の侵入を防いだ上で、行うべきなのだ。

「……そうね。先に入って。私もすぐに行くわ」

「リーゼロッテ様」

「急いで!」

 これを叫ぶと同時にリーゼロッテは夜の闇に向かって、矢を放つ。ジグルスの母の形見である魔道具の矢だ。その意味が分からないほど馬鹿なブルーノではない。

「二名先行! 他は迎撃態勢を取りながら後退しろ!」

 先に二人の兵士が城内に駆け込んでいく。味方の後退を支援するのと、全員を収容したらすぐに扉を閉める役割だ。他の兵士たちは弓を構え、周囲を警戒しながら、ゆっくりと後ずさりしていく。

「リーゼロッテ様! 急いで下さい!」

「分かったわ!」

 リーゼロッテもいつまでもその場で粘るつもりはない。自分が下がらなければブルーノは城に続く扉を閉めることはしない。それが分かっているのだ。

「来たぞ! 撃て! 撃て!」

 ブルーノの視界にも飛竜が姿を現した。それに向かって放たれる矢。リーゼロッテも後退しながら、さらに現れた飛竜に向けて魔法の矢を撃ち続けている。
 
「扉を閉めろ! 敵を近づけるな!」

 味方が全員、城の中に入ったところで分厚い扉が閉められる。かんぬきを差して、それで終わり、ではない。飛竜を使った敵の侵入は当然想定している。内側から攻撃出来るように壁のあちこちに矢狭間が空いているのだ。
 その矢狭間から矢を放つリーゼロッテたち。何人か発着場への侵入を許したが、リーゼロッテの魔法の矢がその敵の息の根を止めていく。
 どれだけの時間、矢を放ち続けたのか。やがて現れる敵が途絶えた。

「……飛竜は何匹いたかしら?」

「たしか……今日残っているのは十三ではなかったですか?」

 ブラオリーリエにいる飛竜の数は多くない。リーゼロッテたちは偵察と急使を送ることにしか飛竜を使わない。ブラオリーリエに残る数は最小限にして、他の飛竜は物資輸送に回しているのだ。

「そうよね。私もそう思っていたわ」

「……まだ残っていますか」

 討ったと思われる飛竜の数はまだ十匹にも足りない。では残りの飛竜はどうしているのか。味方が奪われるのを防いだと考えられるほど、リーゼロッテたちは楽観的ではない。

「他の場所から侵入されたかもしれないわ」

「フェリクスに伝えます。おい」

 ブルーノの指示を受けて、兵士の一人が奥に駆け出していく。空からの侵入路は、対策はされているが、皆無ではない。鉄格子がはまっている窓であっても魔人であれば、どうにか出来る可能性だってある。
 結局、魔人戦に向けての備えは、リリエンベルク公国に限ったことではなく、十分ではなかったのだ。

「侵入者の数が少ないうちに防げれば良いのですが」

「そうね……」

 発着場以外の場所からであれば、一度に大勢が侵入することは出来ないはず。リーゼロッテとブルーノはそうであることを願うしかない。

「……リーゼロッテ様。ブルーノ指揮官」

 二人の会話に割り込んできた兵士の声。静かな声であるが、その声は震えて聞こえた」

「何かあったのか?」

「敵が……」

「新手か? ……どこだ?」

 部下の報告を受けて、矢狭間から外を見るブルーノ。だが彼の目には敵の姿は見えなかった。

「床です。床を這っています」

「床だと……? まさか……嘘だろ?」

 視線を落としたブルーノの目に、ようやく敵の姿が映った。驚くべき敵の姿が。

「……城の壁を昇ってきた? いや、いくらなんでもそんなことが……」

 敵は城の外から発着場に這い上がってきている。城のてっぺんにある発着場に。

「方法が何であっても敵が現れたのは事実よ。やることは決まっているわ」

「承知しました! 攻撃だ! 攻撃しろ!」

 また矢による迎撃を始めたリーゼロッテたち。だが今度のそれは先ほどと違って、かなり難しいものだった。数が違い過ぎるのだ。何カ所からも這い上がってくる敵。しかも途中から盾を構えて、矢を防ぐことまで始めた。そうなると通用するのはリーゼロッテの魔法の矢のみ。彼女一人の迎撃では敵の数は増える一方だ。

「……フェリクスに増援を頼みます」

「……増援を……いえ、そうね。伝えましょう」

 盾に隠れていて敵の正確な数は分からないが、十や二十でないことは明らか。敵はこの場所を主戦場と決めて数を投入している。そうであれば防ぎきることは出来るのか。そんな思いがリーゼロッテの頭をよぎったが、出来る出来ないを考えても無駄。防ぐしかないのだ。

「リーゼロッテ様。お下がり下さい」

 ブルーノも考えていることは同じ。だが彼にはこの場でリーゼロッテを死なせるわけにはいかないという思いがある。

「私がいないと侵入を防げないわ」

 だが今、通用するのはリーゼロッテの魔法だけ。

「死角から近づかれては、扉を破られるのを防げないかもしれません」

 だがそれも見える範囲に敵がいてこそ。死角から扉に近づかれる可能性は十分にある。盾で矢狭間を防がれるだけでも反撃する力は弱まってしまうのだ。

「でも……」

「新手です! あれは……鳥人? とにかく空を飛ぶ魔人です!」

 さらに新たな敵が現れた報告。

「下がりましょう! もっと迎撃し易い場所で戦うべきです!」

「……分か」

「リーゼロッテ様! 敵が!」

 撤退を決断したリーゼロッテの耳に、ぞっと外の様子を探っていた部下の声が届いた。

「今度は何!?」

「……同士討ち、でしょうか。とにかく外で戦闘が始まっています」

「えっ……?」

 部下の説明を聞いて、慌てて矢狭間から外の様子を見るリーゼロッテ。そこでは確かに戦闘が始まっていた。

 

◆◆◆

 ブラオリーリエの城を攻める敵は壁をよじ登ってきたのではない。飛竜を使って伸ばしたロープを伝って、頂の発着場まで昇ってきたのだ。壁とロープでは昇りやすさが大いに違うといっても、かなりの高さであることに変わりはない。それを短期間で実行出来るのは魔人の並外れた体力があってこそだ。
 発着場を占拠してしまえば、城への侵入は容易になる。さらにロープを増やして、逆に下に降り、窓を壊して侵入を果たす。そうでなくても城内に続く扉を突破することが出来れば、それで上下から挟み撃つ形になる。守る側のリーゼロッテたちは逃げ場を失い、全滅もあり得る状況になるだろう。ただし、発着場を占拠出来ればの話だ。
 百を超える数となった魔王軍に向かって、漆黒の大鎌が振るわれる。吹き飛ぶ首や腕。一撃で五、六人がまとめて戦闘不能になっていく。
 魔王軍の敵は大鎌だけではない。彼等と同じように全身を黒装束に身を固めた男。その男が振るう剣も確実に魔人の命を奪っていく。

「殺せ! そいつさえ殺せば黒き精霊は消える! 攻撃を集中しろ!」

 魔王軍は攻撃を仕掛けてきたのが何者か分かっている。それはそうだ。今、黒き精霊と呼ばれるルーを従わせる、本人たちは親友関係のつもりだが、人物はジグルス、ジークフリート・クロニクスしかいないのだ。
 ジグルスに攻撃を集中させようとする魔王軍。だがそれが隙を生み、ルーの攻撃を許すことになる。分かっているのだ。分かっているが、それが一番の方法だと考え、犠牲を覚悟の上でジグルスを殺そうとしているのだ。

「ここで奴を殺せば、大いなる手柄だ! 絶対に逃がすな!」

 さらにジグルスを殺してしまえばリリエンベルク公国の戦況も一気にひっくり返せる。この場での勝利だけでなく、リリエンベルク公国完全占領を実現させる、大いなる戦果だ。
 実際に味方の死に怯むことなくジグルスに攻撃を仕掛ける魔王軍。ルーの攻撃で多くが倒れても、次から次へとまた新手がロープをよじ登って、発着場に姿を現してきている。
 その攻撃をなんとか凌いでいるジグルス。

(……思っていたよりも厳しいな。どうするか?)

 防戦もかなり苦しくなってきた。それでもジグルスに撤退という選択肢はない。リーゼロッテを守る為、という理由が一番だが、それだけでもない。今、ブラオリーリエの城を攻撃しているのは、ジグルスに従う「冥夜の一族」と似た部族。「冥夜の一族」には数段劣るとされているが、情報収集や工作活動など裏の仕事が得意な一族で、敵側にいられては面倒な存在だ。
 その邪魔な存在の力をジグルスは、この場を使って出来るだけ削ごうと考えていた。

(……ここらで妥協するか)

 十分な成果は得られていないが、このままここで討たれるわけにはいかない。あくまでも囮を演じているつもりであって、実際に餌になるつもりはないのだ。そう考えて、敵を撤退させる攻撃に切り替えようと考えたジグルスであったが。

「えっ……? 嘘?」

 自分に斬りかかろうとした敵を貫いた矢。それが誰のものか確かめなくてもジグルスは分かる。分かるのだが、その人は堂々と姿を現すことまでしてしまった。

「囮は俺一人で十分なのに……」

 リーゼロッテも魔王軍にとってはジグルスに次ぐ敵の重要人物。確実に討ち果たしたい相手だ。姿を見せれば敵は当然、攻撃を集中しようとする。ジグルスよりも与しやすい。そういう思いも持つ者は持っている。
 ここでリーゼロッテを殺させるわけにはいかない。群がろうとする敵を切り払いながらジグルスは彼女に近づいた。

「ジーク」

「…………」

 リーゼロッテの呼びかけにジグルスは応えるつもりはない。ほぼバレていても肯定さえしなければ、事実にはならない。そう考えているのだ。
 幸い、という言葉は相応しくはないが、リーゼロッテはそれ以上、ジグルスに呼びかける余裕はなかった。殺すべき二人が一つ所に集まったのだ。魔王軍の攻撃は息つく暇もない激しさになった。
 背中合わせになって剣を振るうジグルスと魔法の矢を放ち続けるリーゼロッテ。次々と敵は倒れていくが、群がる敵の数は一向に減らない。
 さすがに限界が近づいてきたその時――彼女たちは現れた。ナーナと彼女が率いる有翼族だ。
 城の柱に繋がれていたロープが切り離され、ぶら下がっていた魔人もろとも地に落ちていく。さらにジグルスたちを囲む敵を外側から矢で射るナーナたち。もう昇ってこられる魔人はいない。ルーの攻撃と合わさって、見る見る魔王軍の数が減っていく。
 逆に包囲を受ける立場になった魔王軍。退却しようにも逃げ道は城に通じる扉。これまでと目的の場所は変わらない。彼等はそこを突破出来ないでいるのだ。
 徐々に焦りと動揺が広がり、魔王軍の勢いは衰えていった。そうなればもうジグルスたちの敵ではない。そう時間がかからずに殲滅されていった。

 ――包囲の輪が消えたあと、ジグルスはリーゼロッテに背を向けたまま、宙で待つナーナのところに向かおうとするのだが。

「行かないで……行かないで、ジーク。お願い」

 背中から掛けられたリーゼロッテの震える声が、その足を鈍らせた。

「私を置いていかないで……私を一人にしないで……」

 動きの鈍ったジグルスの背中に抱きついて、さらに懇願するリーゼロッテ。ここまでされてしまうとジグルスも、彼女を振り切ることなど出来なくなってしまう。ジグルス自身も本心ではこのまま別れたくはないのだ。

「愛しているの。貴方が何者であったとしても、ジーク。私は貴方を愛している」

「……俺は……俺は」

「貴方の為に私は戦うの。貴方が私の全てなの。貴方の為なら私は全てを捨てられるわ。たとえ人々に裏切り者とののしられることになっても、私は貴方の側にいたい……お願い」

 たとえジグルスが何者であってもリーゼロッテは側にいたいのだ。すでに彼女はリリエンベルク公国令嬢ではなく、一人の女性として生きると決めていた。

「……俺は……俺も貴女の為に戦っています。貴女を助ける為であれば、俺は何者にでもなってみせます」

 顔を隠していた黒い布を取り去って、後ろを振り向いてリーゼロッテと向かい合うジグルス。交差する二人の視線。二人の顔がゆっくりと近づき、唇が重なる。
 お互いの背中に回された腕が、しっかりと二人の体を結びつけている。もう離れたくない。離したくない。そんな想いが二人の心を占めているのだ。

「……自分たちを囲んでいる死体の山も、今の二人の目には入らないのでしょうね?」

「そうですね……って、貴女は?」

 いきなり話しかけてきたナーナに戸惑うブルーノだが。

「それは追々。これから仲良くすることになるのでしょ? あの二人のあの様子では」

「……そうですね」