一本の木も生えていない赤茶けた岩肌を晒している荒涼とした山の麓。
そこでは多くの人間がボロ衣を纏って忙しく働いていた。山壁に大きく開けられた洞窟。そこから次々と運び出された岩は何か所かに積まれていき、それをまた大金槌を持った者たちが細かく砕いていく。
砕かれた岩の行き場は少し離れた場所にある炉場。そこで砕かれた岩、鉄鉱石は製鉄されていく。ゼクソン王国の重要な産物であり、その軍備を支える鉄の産地の一つが、この場所なのだ。
ここで働く者は犯罪者か他国の捕虜。グレンもまた、この場所で働かされていた。
「おら! 働け! 手を休めるな!」
採掘場の監督官が手に持つ鞭が振るわれる。その鋭く動く鞭の先端がグレンの背中に叩きつけられた。肌を叩く音が響き、グレンはその痛みに耐えかねて思わず跪いた。
「……痛っ」
「おや?」
「……監督官、今の見せ鞭じゃなくて、まともに当たりましたけど?」
「おおっ、すまん、すまん。つい力が入ってしまった」
「ついじゃないですよ。何ですか? 何か良いことでもあったのですか?」
監督官との会話を続けながらも、グレンは立ちあがって手を動かし始めた。こなさなければいけない量は決められている。それはグレン自身が率先して決めたことでもあるので必ず守らなければならない。
「聞いてくれるか?」
「話したいのでしょう? どうぞ」
「実は、この場所に陛下が視察に参られるのだ」
「国王が自ら?」
「そうだ」
「……そういうことは良くあるのですか?」
このような場所に国王が訪れる理由がグレンには分からない。
「まさか。異例のことに決まっている。恐らく、このところの生産量の増加をお知りになられて、視察に見えられるのだ」
「ああ、なるほど」
監督官が浮かれている理由がグレンにも分かった。これが理由で国王がわざわざ訪れるとなれば、浮かれるのも当然だ。
「お褒めの言葉を頂けるに違いない。もしかすると褒美として任期の短縮なんてことになれば」
「晴れて出所ですね」
「……出所と言うな」
渋い顔で監督官はグレンに文句を言ってくる。
「でも、そういうことですよね?」
「まあな」
監督官などといっても、娯楽も何もない、食事も労働者たちとそれほど変わらない、ただ毎日労働者の様子を眺めているだけの仕事だ。
それはもう間違いなく左遷であり、流刑と言っても良いものだ。実際に、ここにいる監督官の全員が、何らかの罪を犯して、ここに送られてきた者達なのだ。
罪といっても軽いものばかりであり、仕事上の大きな失敗なども含まれているので犯罪とは少し違っているが、処罰であることは間違いない。
「そうなると後任の人が送られてくるのですか?」
嬉しそうな監督官とは正反対にグレンの表情は曇っている。
「どうした?」
「せっかく実績をあげて、監督官の皆さんに認めてもらった今のやり方が、また元に戻ってしまうではないかと」
「ああ、そのことか。それについては心配するな。成果があがっているという事実がある。後任の者たちには我らからもちゃんと説明しておく」
「そうであれば良いのですが……」
元より監督官とはこの様な関係だったわけではない。労働も今よりもはるかに厳しいものだった。朝から晩まで休む暇もなく働かされ、ちょっと手を休めると鞭で打たれた。過酷な労働と監督官による暴力で、毎日、何人もの労働者が倒れて行った。
それを変えたのがグレンだった。作業の段取りを整え、効率的に作業できる人数を割出し、全体を幾つかの組に分けて交替制で働くことを提案した。
当然すぐに受け入れられることはなかったが、諦めずに、振るわれた暴力にも屈せずに交渉を続けていった中で、試してみるだけの猶予を手に入れ、実際に成果を上げて見せた。
適度な労働力の投入と適度な休息。一人一人の作業効率を上げていく中で、生産量を伸ばして見せたのだ。
「少なくとも俺はお前には感謝している。こんなところに送られて、自暴自棄になっていた俺がまた働くことへの意欲を取り戻せたのだからな。こんな風に思っているのは、俺だけではないと思うぞ」
「そうだとすれば嬉しいですね」
素直に喜びの言葉を口にしたが、実際は監督官たちに感謝されることではない。自分が生き残る為に行ったことだ。
ローズやフローラに期待を持たせて無駄な時を過ごさせるよりは死んだ方がマシ。こんな風に考えていた時期もあったが、気持ちが落ち着くと、死んだことさえ伝えられないのだと気が付いた。
生き延びるしかないのだ。生き延びて、何とか二人の下に帰るしかない。
「それで、国王陛下が来るのはいつなのですか?」
「明日だ」
「それはまた急ですね。お迎えの準備とかはいらないのですか?」
「そういうことは御嫌いだという話だ。特別なことは何もするなという連絡があった。下手なことをすれば、却ってお叱りを受けるからとな」
「ああ、気難しそうな方でしたからね」
監督官の言葉にグレンは納得した様子を見せている。
「お前、お会いしたことがあるのか?」
「捕虜になった時に一度だけ」
「何と……お前は一体何者なのだ?」
ただの捕虜が国王に会えるはずがないことくらいは監督官だって分かる。
「ウェヌス国軍の兵士ですけど?」
「それは知っている……そうだな、敵国の人間なのだよな」
監督官は当たり前のことを、今更言ってくる。こうなるだけの付き合いが、いつの間にか出来上がっていたのだ。
「態度改めますか?」
「いや、そのつもりはない。なあ……」
「なんですか?」
「どうせ帰れないのだから、この国で働いたらどうだ?」
「働いていますけど?」
「そうじゃない。この国の人間になったらどうかと言っているのだ。お前の様に能力のある者であれば、他国の人間とはいえ、それなりの仕事は与えてもらえると思うぞ?」
「それは出来ません」
監督官が親切心から言ってくれていることはグレンにも分かる。だが、それを受け入れることは出来ない。
「ウェヌスへの忠誠は捨てきれないか」
「国への忠誠なんて元から持っていません」
「では何故?」
「家族がいます。大切な家族が。俺が寝返ったなんて知れたら、その家族がどんな目に遭うかと思うと」
「……そうか。だが、その家族に会える可能性はないぞ?」
一度、捕虜になった者が解放されることなどない。監督官はこう考えている。実際にこの場所に送られた者で自国に戻った者は監督官が知る限りいないのだ。
「だからと言って家族に危害が及ぶかもしれない真似をするわけにはいきません」
そもそも帰ることをグレンは諦めていない。これはさすがに監督官には話せない。
「そうだな」
「そういうことです。さて、監督官がいつまでもサボらせてはいけないと思いますよ」
「あ、ああ。じゃあ、頑張れ」
「はい」
監督官がその場を離れていく中、グレンは目の前の仕事にまた集中し始めた。決して楽ではない労働だが、だからこそ余計なことを考えなくて済むという点もあるのだ。
◆◆◆
定められた労働時間を終えて、グレンの組は休憩に入っている。
掘立小屋のような休憩所に多くの人間が雑魚寝しての休憩だ。それでも今の時間はまだ良い。夜になって全員が一度に休むとなれば、寝返りをうつ余裕もないくらいに詰め込まれることになるのだ。
交替で休憩をしているこの時間が、ゆっくりと体を休められる時間。これを知っている皆が、まだ明るいうちから寝息を立てている。
グレンも今のうちに睡眠をと思っているのだが、なかなか寝付けなかった。疲れていないわけではないが、頭の中に色々なことが浮かんできて落ち着かないのだ。
監督官との会話のせいだ。どうしても、もう会えないかもしれない人たちのことが思い出されてしまう。
それを振り払おうと別のことに思いをめぐらしてみる。そして浮かんだのが明日、この場所に来るというゼクソン国王のこと。
監督官に話した通り、グレンはゼクソン国王に会ったことがあった――。
捕虜になったグレンたちは直ちにゼクソン王国の都に送られた。
全員ではない。一般兵を除いた士官以上の者たちだけだ。王都に送られたグレンたちは、そこで尋問を受けることになる。もっとも、それ程厳しいものではなかった。
ゼクソンの目的は将官の抹殺。尋問はウェヌス軍部の情報を得るというより、身分を隠して潜んでいる者がいないかのあぶり出しの為だ。
そうなるとグレンは処刑の対象になる。そう思われたのだが、事はそうは進まなかった。
拘束されたまま、引きずり出された小さな会議室。
強引に床に跪かされたグレンの目の前に座っていたのが、ゼクソン国王ヴィクトル・レオンハートその人だった。
短く切りそろえた灰色がかった金髪、翠色の切れ長な瞳、透き通るような白い肌に浮かぶ赤い唇。女性に見間違うばかりと聞いていた容姿に間違いはなかった。
だが、整った眉を眉間に寄せて、睨むように見つめる様子は、気の強そうな、どこか神経質そうな雰囲気を漂わせていて、見惚れるよりもグレンは不快なものを感じた。
「お前がグレンとかいう輩か?」
甲高い、これも又、神経質さを感じさせる声がグレンの耳に届く。
「…………」
「返事をしろ!」
「……見るからに高貴に見える御方に直答をしても宜しいのでしょうか?」
グレンの視線が隣に立つ騎士に向けられている。慇懃無礼。気に入らない目上の人に出会った時のグレンのいつもの態度だ。
「かまわん。我が王はその様なことを気にされる御方ではない」
「ああ、ゼクソン国王でございましたか。それでは益々、直答などは許されません」
「許すのではない。命ずるのだ」
「…………」
ゼクソン国王からの予定外の言葉に、グレンは咄嗟に反応出来なかった。
「俺が命ずるのだ。それだけ敬う気持ちがあるのであれば、当然従うのであろうな?」
「……案外、頭が回る」
「何だと!?」
グレンの挑発に、すぐに怒気を発するゼクソン国王。思った通りに神経質な性格だ。
「褒め言葉です」
「……貴様」
「それで? 国王陛下が自分のような一捕虜にどのようなご用件でしょうか?」
「……お前を引き渡せと言ってきている」
「ウェヌス……ではありませんか」
ウェヌスが動くには早すぎるとグレンは判断した。
「一つはアシュラムだ。随分と活躍したようではないか。相当恨まれているようだな?」
「でしょうね」
「こちらとしても処刑の手間が省ける。悪い話ではない」
「そうですか。一つはと言うからには別にもあるのですか?」
アシュラムについての予想はついた。だが、もう一つの引き渡し先についてはグレンには全く心当たりがない。
「もう一つは銀鷹傭兵団だ」
「……ゼクソンにいたのですか?」
意外な答えにグレンは驚いている。
「銀鷹傭兵団を知っているのか?」
「名前は。ウェヌスでは有名ですから。悪い意味ですけど」
「そうか。お前がいた軍との戦いには参加していない。もう一つの方の戦いに出向いていた。後退するウェヌス国軍を殲滅するのに随分と活躍してくれた。その報償の一つとしてお前を寄越せと言ってきている」
「自分は男ですけど?」
「そ、そういう意味ではない……と思う」
ずっと不機嫌そうにしていたゼクソン国王の顔にわずかに朱が浮かぶ。
案外、純情だ。それを見てグレンは思った。
「それで自分はどうなるのですか?」
「俺に仕えないか?」
「お断りします」
「……理由を聞こう」
ゼクソン国王の顔からは朱色が一気に消え失せて、今度はこめかみに青筋が浮かんだ。感情がやたらと顔に現れる。もっぱら不機嫌な方ばかりだが。
「ウェヌス王国には家族がいます。何よりも大切な妹です。その妹に迷惑を掛ける様な真似は出来ません」
「妹……何よりも大切と言ったな?」
「はい」
「自分の命よりも?」
「もちろんです。自分の人生は妹だけの為にあると考えて生きてきました。命もまた、妹の為にあります」
「……そうか。しかし、それであれば、妹をこの国に招き入れれば仕えそうな言い方だな」
「はい。それは無くはありません。ですが、それをされては困ります」
「何故だ?」
ゼクソン国王としては善意を見せたつもりだった。それをグレンに断られ、ますます不機嫌そうな表情になる。
「滅びゆく国で妹が安寧に暮らせる保証はありません」
「何だと!?」
「ゼクソン王国は、いずれウェヌス王国に攻め滅ぼされることになります。敗戦国の民は厳しい処遇に晒されるかもしれません」
ゼクソン国王の怒りなど全く気にすることなく、グレンは辛辣な言葉を述べていく。
「ふざけるな! 我が国は見事にウェヌスを打ち破って見せた! 我が国が滅ぼされるなどありえん!」
「では、何故、ウェヌスに攻め込まないのですか?」
「…………」
怒声を放っていたゼクソン国王は、グレンの言葉で黙り込んでしまった。
「攻め込まないのではなく、攻め込めないのです。侵攻軍を破った。先ほどのお話を聞く限りは中軍も、それと合流すべく向かった先軍の騎士団も殲滅に近い被害を受けたのですね?」
「そうだ。結果として全軍の半分を倒した」
「所詮は侵攻軍の半分です。ウェヌス王国騎士団、国軍の半分ではありません。それにウェヌス軍はそれだけではありません。無傷の辺境軍、地方軍がいます。ゼクソン、アシュラム国境には五千の辺境軍が配備されています。ゼクソン王国にはそれを打ち破って、侵攻する力もない」
「…………」
グレンの指摘には反論出来るところがない。完全に図星をさされていた。
「そして、やがて大損害を被った騎士団もその陣容を回復させていくでしょう。その時はウェヌスも小細工などしません。堂々と二国を相手に正面から戦争を仕掛けてきます。ゼクソン王国にそれを食い止める力がありますか?」
「……ある」
少し間が空いたがそれでもゼクソン国王はあると答えた。ただ国王としては、こう答える以外に選択肢がないだけだ。自国が滅びるなど認めるわけにはいかない。
そしてグレンはこれを分かっている。
「それは見栄というものです。あるはずがない。ウェヌス王国軍は全軍を合わせれば十万を超えるのです。その気になれば東方だけでも恐らく五万は動員出来ます。まあ、辺境軍も地方軍も侵攻戦に参加させるというウェヌスとしては異例の手続きが必要ですが」
「それをウェヌスは行うのか?」
「さあ? でも、物事とは変化するものです。いつまでもウェヌス軍が過去の慣習に捉われたままと思うのは間違いでは? そして、変化のきっかけを作ったのは、他でもないゼクソン王国です」
今回の敗戦を受けて、ウェヌス王国軍の改革は加速する。ウェヌス王国の状況など知る術のないグレンはこう考えている。
「それでも我等は負けない。アシュラムとの連合であれば、数倍の敵程度は」
「ちょっと買い被りですね。アシュラムの騎馬部隊が形になるのは、もう少し先だと思います」
「何だと?」
「五千の騎馬部隊が現れた時にはさすがに驚きましたが、練度としてはまだまだです。それは戦ってみて良く分かりました。まあ、こちらに向かったのがそういう部隊であったのでしょうけど」
「……まだ時間はある。練度はこれから上げていけば良いのだ」
「その間にウェヌス軍もまた、強くなるとは思わないのですか? 勝手ですがアシュラムの騎馬、ゼクソンの歩兵戦術については調べさせて頂きました。そして、その結果で分かったことはウェヌス国軍にも取り入れられていくはずです」
トルーマン元帥が健在であれば間違いなく。だがそうではない。そしてグレンはその事実を知らない。
「……貴様、何なのだ? 軍籍にない客将だと聞いている」
「その通りですが」
「……俺に仕えろ。これは命令だ」
グレンに対しては、かなり腹を立てているであろうゼクソン国王だが、その感情だけに流されることはないようだ。
「お断りします」
「断れば命はない」
「それでもお断りします」
「であれば、お前の妹を」
「それをすれば、自分はどんな手を使ってでも、相手に復讐します。それがたとえ、一国の王であろうとも」
静かに、抑揚もなく発せられたグレンの言葉。それによって部屋の空気が一気に下がったように聞く者たちには感じられた。
「…………」
面と向かっているゼクソン国王は尚更だ。
「ウェヌスを裏切るような真似をしなければ良かったのに。せっかくのメアリー王女殿下との婚約が破談になりました」
発していた怒気を一瞬で収めて、グレンは話題を変えた。息苦しさを感じていた人たちも、それで少し肩の力が抜けた。
「ウェヌスとの同盟などありえない」
「ウェヌスとの同盟よりもメアリー王女殿下との婚約破談を自分は惜しみます」
「何だと?」
「メアリー王女殿下はゼクソン国王をはるかに凌ぐ美しい御方です。その方を妻に出来る機会をみすみす手放すなんて勿体ない」
「……そんな事に興味はない」
挑発に走ったつもりのグレンだったのだが、ゼクソン国王の反応は思ったものではなかった。
「……ですが、どうせ結婚するのであれば、美しい御方のほうが宜しいのでは?」
「結婚などしない!」
「あれ? もしかして男色――」
全てを言いきらないうちに、グレンの顔に隣に立つ騎士の拳が炸裂した。両手両足を拘束されたままのグレンに、その暴力に抗う術はなく、そのまま床に倒れ伏した。
その様子を見て、剣に手を掛けて立ち上がっていたゼクソン国王も、一つ息を吐いて座り直した。
「……御礼は言いません」
起き上がったグレンが睨むようにして騎士にその言葉を告げた。わずかに目を見開いて驚きの表情を見せる騎士。
「死ぬ気だったのか?」
「さあ?」
「……死にたいのであれば殺してやる。そやつの首を落とせ」
グレンの侮辱にさすがにもうゼクソン国王は感情を抑えられなくなっていた。
「王!」
「これは命令だ! さっさとやれ!」
「……はい」
床に跪いたままのグレンの横に立って、騎士は躊躇いながらも剣を抜いた。
その剣をゆっくりと上に振りかぶっていく。グレンはといえば、暴れるでもなく、神妙にするでもなく、ただぼんやりと座っていた。
「……待て」
「はっ」
ゼクソン国王の「待て」の言葉にホッとしたように息を吐くと騎士は剣を降ろした。
「そいつは採掘場送りにしろ」
「……はい」
「死んだ方がマシ。そう思えるかもしれないな」
「それは生きていることに感謝出来ない人の考えです」
「……さっさと連れていけ!」
「はっ」
――これがもう一年以上前の出来事だ。残してきた人々のことを考えるよりはと思ったグレンだったが、ゼクソン国王のことを思い出して気持ちがどんよりと沈んでしまった。
なんとなく虫が好かない。そういう相手に出会ったのは始めて……ではなく結衣以来だった。
気持ちとしては、そんな遠い昔の話ではない。
結局、今度は健太郎と結衣のことを思い出して、なんとなく嫌な気分になり、良いことを考えようとローズとの日々を思い出して悶々とした気持ちになってしまい、そしてメアリー王女のことを思い浮かべて切ない気持ちになってしまう。
その日、体はともかく気持ちは全く休まらない一日をグレンは過ごすことになった。