月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

ファンタジー小説-SRPGアルデバラン王国動乱記~改~

SRPGアルデバラン王国動乱記~改~ 第192話 誰が為の人生

物語が一気に加速した。これはアリシアの感想だ。この世界がゲーム世界、ゲームストーリーからは完全に外れているがゲームと同じ設定の人々が生きる、普通とは違う世界だと知っているアリシアだからそう思うのであって、そうではない人々は、各地で起きた争…

SRPGアルデバラン王国動乱記~改~ 第191話 旅立ち

領地に向かう準備で忙しくしているのはレグルスだけではない。レグルスの周囲の人々も色々とやらなければならないことがあって、忙しくしている。 なんといっても一番は「何でも屋」のバンディー。王都を離れていることが増えたレグルスに代わって「何でも屋…

SRPGアルデバラン王国動乱記~改~ 第190話 歓送

レグルスが新たな領地を与えられたという噂は、少しずつではあるが、確実に人々の間に広まっていった。噂が広まるのに時間がかかったのは前領主サイリ子爵の死の真相を公に出来ない事情が王国にあるから。隣国から人を攫ってきて奴隷のように扱っていたなど…

SRPGアルデバラン王国動乱記~改~ 第189話 交差する想い

領地替えの準備で寝る間もないほど忙しくしている中、レグルスは意外な来客を迎えることになった。サマンサアンだ。彼女がこのタイミングで会いに来る理由が、レグルスには思いつかない。彼女との関係は過去の人生とは違う。特別なものはまったくない。そう…

SRPGアルデバラン王国動乱記~改~ 第188話 多忙な日々

領地替え。それもこれまでのゲルメニア族の居住地を領地としていたのとは異なり、きちんと領地を運営しなければならないことにレグルスはなった。ただ住む場所を引っ越せば良いというわけでは、当然ない。様々な役割の家臣を揃えていかなければならい。まし…

SRPGアルデバラン王国動乱記~改~ 第187話 恩賞?を頂きました

パーティー会場を離れてレグルスは、国王と共に執務エリアの奥の小会議室に入った。レグルスが初めて訪れた会議室。国王が少人数で他に聞かせられない相談を行う為の会議室なのだが、そんなことはレグルスには分からない。 会議室に入ると、先に宰相と諜報部…

SRPGアルデバラン王国動乱記~改~ 第186話 昇らされた階段

王城の大広間には着飾った多くの人が集まっている。奏でられる音楽、テーブルの上に並ぶ様々な料理。飲み物を乗せたトレイを持つ給仕人たちが、人々の間を動き回っている。王国主催のパーティーが開かれているのだ。 ただ今日開かれているパーティーは、通常…

SRPGアルデバラン王国動乱記~改~ 第185話 後始末

レグルスに興味を持ったのは、初めて会ったホーマット伯爵領での戦いの時だ。自分が知る王国騎士団とは異なる動きを見せる部隊。その指揮官と思われる若い騎士の言動もかなり異質だった。 その実力はどうなのかと考え、確かめる為に戦いを挑んでみたが、ホル…

SRPGアルデバラン王国動乱記~改~ 第184話 ぎりぎりの決着

サイリ子爵を討ちとり、共に出撃してきた子爵家軍を殲滅、とまでは行かなかったが壊滅的な打撃を与えた黒色兵団は、そのままサイリ子爵の館に攻め込んだ。建物が堅牢であっても防衛戦力が壊滅してしまっていては守りきることなど出来ない。館に残っていた人…

SRPGアルデバラン王国動乱記~改~ 第183話 殲滅

何か所かに分かれて強制労働をさせられていた人々を、レグルスたちは解放した。女性も含めて、八百人を超える数だ。その数を連れてレグルスが向かったのは、サイリ子爵がいる城。逃げるのではなく攻める。捕らえられていた人々のほとんどが想定していなかっ…

SRPGアルデバラン王国動乱記~改~ 第182話 動き出したら止まらない

ぱっと見は地方の小領主の館。街ひとつ程度の領地しか持たない貴族家の暮らしは、王都郊外の豪農と変わらない。下手すれば、もっと質素なくらいだ。王国にはそういった小領主が大勢いる。 サイリ子爵も、子爵という爵位だけで考えれば、その建物で暮らしてい…

SRPGアルデバラン王国動乱記~改~ 第181話 同窓会?

東方辺境伯家、ホワイトロック家の王都屋敷でアリシアは、キャリナローズとタイラー、そして今はタイラーの妻となっているフランセスの三人と久しぶりに会っている。こういう機会は卒業してから一度もなかったのだが、いきなりキャリナローズに呼び出された…

SRPGアルデバラン王国動乱記~改~ 第180話 正しくあるということ

山中にある古い木こり小屋。もう何年も使われることのなかったその建物に、人の気配がある。黒色兵団の団員たちだ。正規に、中身は偽情報だが、発行された王国の通行証を使って、燐家の関所を抜けた彼らは、そこから街道を逸れ、人が足を踏む入れることのな…

SRPGアルデバラン王国動乱記~改~ 第179話 出る杭は

偵察により安全を確認したところで、再び庶民を装って白金騎士団は領主であるスタンプ伯爵が捕らわれているだろう領主館のある街に侵入した。難しい問題はなかった。反乱を起こしたであろう者たちが警戒している様子はない。重要拠点でもないその街に入るの…

SRPGアルデバラン王国動乱記~改~ 第178話 それぞれお仕事中です

白金騎士団の任務地は、王国南西部にあるスタンプ伯爵領だった。王国中央部と呼ばれている地域からは少し国境側に外れた場所。西方辺境伯領と南方辺境伯領からはまだ距離がある位置だ。 激戦地となった歴史はあるが、それは遠い過去の話。今は軍事的な要所と…

SRPGアルデバラン王国動乱記~改~ 第177話 口に出せない想い

王都にある聖パンティオン教会本部。その建物の周囲を鎧兜に身を固めた騎士たちが囲んでいる。煌びやかな鎧兜を身につけた、その騎士たちは近衛騎士団だ。国王が教皇と会談を行う為に教会本部を訪れているので、警護を行っているのだ。 国王が教会本部に足を…

SRPGアルデバラン王国動乱記~改~ 第176話 見えない何か

王都に戻った白金騎士団は、休む間もなくすぐに、次の任務の準備に入った。白金騎士団、というより、ジークフリート王子は功績を積み重ねることを必要としている。能力では兄であるジュリアン王子より高く評価されているとはいえ、それだけで王位継承順位を…

SRPGアルデバラン王国動乱記~改~ 第175話 お宝GET!

王城の奥。王家の人々の居住スペースとなっている建物の屋上で、エリザベス王女はぼんやりと夜空を眺めている。他人にはそう見えるだけで、実際にエリザベス王女が見ようとしているのは夜空ではない。視たいのは、そう遠くない未来だ。 エリザベス王女の持つ…

SRPGアルデバラン王国動乱記~改~ 第174話 兆し

レグルスとキャリナローズとの間に生まれた子供についての話が終わった後も、東方辺境伯は城に残って、国王との話し合いを続けている。普段は領地にいる東方辺境伯だ。こうして王都に来て、国王と話をすることなど頻繁にあることではない。国のこと、国境を…

SRPGアルデバラン王国動乱記~改~ 第173話 これは、修羅場なのか?

王国騎士団の施設は、王城のすぐ隣の広大な敷地の中にある。王国騎士団と呼ばれるのは特選騎士と一般騎士、従士、それに後方支援要員を合わせても二千名ほどの人数。だが訓練施設を利用するのは王国騎士団の騎士に加えて職業兵士、そして徴兵を加え、最大で…

SRPGアルデバラン王国動乱記~改~ 第172話 反省中

ホーマット伯爵捕縛任務は、伯爵の自死という結果で終わった。ジークフリート王子率いる白金騎士団がかなり強引に防壁を突破し、屋敷への突入を果たしたところで、敗北を悟ったホーマット伯爵は自死を選んだということだった。 捕縛は失敗したが、罪を認めて…

SRPGアルデバラン王国動乱記~改~ 第171話 失敗したかも

喧嘩はレグルスの勝利。圧勝という結果だ。その決着を見ていた軍勢に向かって、勝利を宣言したレグルス。だがそれに反応する者はいない。 「約束だ。武器を捨てて、家に帰れ」 約束を守るように告げても、やはり反応する者はいなかった。王国軍側の多くは、…

SRPGアルデバラン王国動乱記~改~ 第170話 常識外れ、だからこそ面白い

ホーマット伯爵がこもる建物は、その外観だけであれば、ただの石造りの貴族屋敷に見える。だがその立地は、二層の水堀に囲まれた、周囲からは少し高さのある土地の上。敷地が狭いというだけで、その構造は城と同じだ。屋敷に入るには水堀の上にかけられた橋…

SRPGアルデバラン王国動乱記~改~ 第169話 固まる思い、揺らぐ思い

領境の砦を奪った王国騎士団は、長くそこに留まることなく、進軍を開始した。他の貴族家軍も別の領境に到着する頃。その軍と合流を図る為だ。千に届かないであろう貴族家軍が単独で行動していては、数で優るホーマット伯爵家軍による各個撃破の標的になるだ…

SRPGアルデバラン王国動乱記~改~ 第168話 開戦

ホーマット伯爵家軍は万の軍勢を有している。この情報は任務についている王国騎士団の面々を驚かせた。数で劣っていても質で凌駕する、というのが最初からの作戦方針ではあったが、さすがにここまでの大軍であるのは想定外だったのだ。 この情報は速やかに王…

SRPGアルデバラン王国動乱記~改~ 第167話 想定外が過ぎる

王国中央部に位置する貴族領の領境に、王都に繋がる主要街道上を除いて、砦などの防衛施設はない。防衛力を高めるよりも、人の往来をしやすくするほうが優先されているのだ。軍事よりも経済優先ということだ。 そもそも貴族領の境など王国の軍事上はたいした…

SRPGアルデバラン王国動乱記~改~ 第166話 鈍感、鈍感、敏感

ホーマット伯爵領に向かう王国騎士団は、少数に分かれて移動している。まとまった数で王都を出ては、軍が動かなければならないようなことが起きたと、すぐに広まる。長年戦争続きのアルデバラン王国の人々は、そういう動きに敏感なのだ。その情報をホーマッ…

SRPGアルデバラン王国動乱記~改~ 第165話 これは正義ではない

レグルスが立っているのは王都から一週間ほど西に移動した場所となる街道。王都を中心に四方に伸びる主要街道とは違う、そこから外れた支線というような道で、さらにその行き着く先は登山口とあって、道行く人の姿は見えない。そんな場所に、どうしてレグル…

SRPGアルデバラン王国動乱記~改~ 第164話 誤算が招くもの

アリシアが知る限り、居住地から逃げ出したカリバ族は捕まっていない。実際にどうかは分からないが、捕まったという情報は、アリシアには届いていない。ジークフリート王子も聞いていないと言っている。 アリシアは居住地でジークフリート王子、白金騎士団と…

SRPGアルデバラン王国動乱記~改~ 第163話 出来ること、出来ないこと

何の考えもなくカリバ族の居住地に入ったアリシア。領主の犯罪に加担していた者たちを捕まえるという時間稼ぎの口実は、当然だが、現実のものとはならない。それが出来るのであれば、とっくに行っている。アリシアは、まったく手がかりが掴めなくて、悩んで…