月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

ファンタジー小説-黒き狼たちの戦記

黒き狼たちの戦記 第42話 戦う前から想定外

戦争に向けて準備を行っているのはアルカナ傭兵団だけではない。人知れず動いている組織がある。黒狼団だ。ベルクムント王国との戦いが始まると聞いたロートは、情報集めに動いた。太い情報源は今はまだいない。それでも食堂の、エマのかもしれないが、評判…

黒き狼たちの戦記 第41話 視えないもの。視たくないもの

自分が特別であることに気が付いたのはいつのことだったか。記憶を探っても見つからない。特別であることが苦痛になった日のことは覚えている。何年何月なんて記憶はないが、その時の感情は今も胸にはっきりと刻まれている。 父親は商人だった。大商家といえ…

黒き狼たちの戦記 第40話 黒狼と呼ばれていたからって獣扱いするな

出陣の準備にアルカナ傭兵団施設は賑わっている。実際の準備は軍政局の仕事で、傭兵団の団員が行うことはそれほどないのだが、大国との戦争を前に気持ちが高ぶっていて、何をするにも騒がしくなってしまうのだ。 鍛錬場も多くの団員で賑わっている。残りわず…

黒き狼たちの戦記 第39話 ハイリスクで得られるのはハイリターンかノーリターンか

ベルクムント王国の宮殿では宴が催されている。感謝祭が終わってから半月と少し。ようやく世間に日常が戻ったばかりのこの時期に開かれた宴。定例のものではない。中央諸国連合への侵攻が発表され、公式なものとなったことで壮行会が開かれているのだ。 停戦…

黒き狼たちの戦記 第38話 その時に応じて考えを改めることは必要だ

感謝祭明け四日目くらいになると、実家で過ごしているだけでは退屈になった人々が、新しい年の始まりに神への祈りを捧げる為に教会に行く、という名目で外出するようになる。そうなると食堂や商店はそういった人々目当てに普通に営業を始めることになる。傭…

黒き狼たちの戦記 第37話 感謝祭を感謝するのは当たり前?

感謝祭当日の昼。ヴォルフリックはアルカナ傭兵団施設の外にいた。特別に外出許可が出たのだ。許された理由は食堂が休みだから。感謝祭当日から先、二週間は食堂の職員も実家に戻ることになる。その間の食事は自分でなんとかするしかないのだが、街の食堂や…

黒き狼たちの戦記 第36話 信じる者が救われるなら疑う者はどうなるの?

傭兵団施設の食堂。今日のその場所はいつもとは違う騒がしさ。多くの騎士や従士が興奮した様子で大声で語り合っている。感謝祭を間近に控えて皆が浮かれているから、ではない。彼らの興奮は喜びから生まれたものではなく、その逆。初めて見た武器に恐れを抱…

黒き狼たちの戦記 第35話 人はそれぞれ背負っているものがある

ノートメアシュトラーセ王国は小国。その小国の二十人にも満たないアルカナ傭兵団の上級騎士たちが、大陸の東西二大国ベルクムント王国とオストハウプトシュタット王国を相手にして堂々と渡り合っている。そのアルカナ傭兵団の上級騎士たちはクローヴィスに…

黒き狼たちの戦記 第34話 敵を知る。まずはそこから始めよう

三団対抗戦の第二戦、近衛騎士団と王国騎士団の対戦は近衛騎士団の三戦全勝という結果に終わった。王国騎士団としては、アルカナ傭兵団との対戦を含めて一勝も出来なかったという惨敗であるが、それなりに意地を見せた結果だ。近衛騎士団との対戦は捨て試合…

黒き狼たちの戦記 第33話 愚策であることも分からない愚か者たち

三団対抗戦当日。会場となる王国騎士団の屋外鍛錬場の倉庫でボリスは、大きな体を丸めて、何やら作業をしている。流れる幾筋もの大粒の汗。それはすでにボリスの服を、びっしょりと濡らしていた。 拳を握り、手に持った剣に打ち付ける。その度に金属音が響き…

黒き狼たちの戦記 第32話 知らないところで色々と動き出している

ベルクムント王国の都ラングトアは感謝祭を間近に控えて、大いに賑わっている。街は華やかに彩られ、大通りには普段は見られない露店が数多く並んでいる。感謝祭当日以降は自宅で家族との団らんの時を楽しむというのが一般的な慣習。商店や露店にとってはそ…

黒き狼たちの戦記 第31話 与えられた仕事が嫌になることってあるよね

王国騎士団の鍛錬場。そこに三団対抗戦の参加者が一同に会している。とはいえ、まだ本番は先。今日は公開練習日だ。これもアルカナ傭兵団を有利にしない為に必要なこととして、今年初めて行われた。 今年のアルカナ傭兵団から選抜された上級騎士は全員が初参…

黒き狼たちの戦記 第30話 お父様と初めて会った

ノートメアシュトラーセ王国に戻ったヴォルフリックたちは鍛錬ばかりの毎日を過ごしている。新たな任務が与えられる気配はない。それは他の部隊も同じだ。 あとひと月もすれば感謝祭。ノートメアシュトラーセ王国だけでなく、大陸全土が休暇に入る。それは戦…

黒き狼たちの戦記 第29話 次の、そして本当の戦いの為に

パラストブルク王国の王都。東門から城に伸びる大通りの両側には住人たちが並んでいる。反乱鎮圧を終えて王都に帰還する討伐軍を迎える為だ。だがその表情は決して明るいものではない。国に命じられて駆り出されてきたものの、心から反乱鎮圧の成功を喜んで…

黒き狼たちの戦記 第28話 納得がいかない終わらせ方

討伐軍の陣地。そこから王都がある方角、西に少し戻ったところで街道を逸れると青々と木々が生い茂った森がある。その森の中。小さな灯りを囲んで、ヴォルフリックは報告を聞いていた。 報告しているのはビトー。彼は王都での必要な情報収集を終えて、ヴォル…

黒き狼たちの戦記 第27話 火は水に弱いってのは間違い

ゴードン将軍が軍を率いて進発する前に、ヴォルフリックたちはナイトハルト男爵領に向かっている。ニコラオスにこれまでの戦いについての詳細を聞きたいというのが、先発した理由だが、それは口実に過ぎない。ゴードン将軍と長く一緒にいたくないというのが…

黒き狼たちの戦記 第26話 始まりの時を思う

アルカナ傭兵団が最後の交渉として城を訪れてから、すでに二週間。検討の余地があることを感じさせたはずの相手からは、何の連絡もない。ローデリカの側もすでに提示された条件から相手が譲ることがなかった場合に備えて、色々と検討しなければならないのだ…

黒き狼たちの戦記 第25話 反乱の首謀者って大変そうだ

ヴォルフリックは一人で城に向かった。ブランドは街の中で待機。ヴォルフリックに何かあった時に対処する役目。アインはこの街を出て、王都に向かっている。王都で情報を集める為だ。城内の様子を探ることは難しいが街の世間話からでも得られるものはある。…

黒き狼たちの戦記 第24話 まずは聞き込みから

パラストブルク王国に到着したヴォルフリックたち。まずは王都にある城に行って、依頼主であるパラストブルク国王にご挨拶、なんてことは行わない。国境を抜けたところで王都に向かう街道から外れ、まっすぐに東に向かって進んでいった。たどり着いた先はナ…

黒き狼たちの戦記 第23話 誤算、の一言で終わらせられるものではない

任地であるパラストブルク王国に向けて、出発するヴォルフリックたち。その様子はとても任務に向かう傭兵団には見えない。かろうじて腰に携えている武器が、彼らが傭兵であると認識させるものであるが、それ以外はただの旅人と同じ。元近衛騎士であるフィデ…

黒き狼たちの戦記 第22話 また、さらに気の進まないお仕事です

西のベルクムント王国と東のオストハウプトシュタット王国。この二大国にまとまって対抗する為に中央諸国連合は出来上がったのだが、ノイエラゲーネ王国がベルクムント王国の謀略に協力したように、必ずしも一枚岩とは言えない状態だ。それぞれ自国を存続さ…

黒き狼たちの戦記 第21話 久しぶりの再会なのに・・・

今日は定例の従士試験の日。会場となっている王国騎士団の野外鍛錬場は見物客とその見物役目当ての露店、さらにその露店目当ての客で大いに賑わっている。いつものことだ。 ヴォルフリックにとっては二回目の従士試験。試験そのものはもっと行われているのだ…

黒き狼たちの戦記 第20話 叶わぬ願い、せめて

アルカナ傭兵団の定例会議の場。出席者は国王であり団長であるディアークとアーテルハード、ルイーサとトゥナの四人だ。力の称号を持つテレルも本来は出席者であるが、今は任地にいる為、参加していない。この参加者五人がアルカナ傭兵団の幹部ということだ…

黒き狼たちの戦記 第19話 俺にそんな趣味はない

ヴォルフリックが独房に入れられていたのは二週間。長すぎず短すぎず、軍法会議での彼の発言が人々に広まり、それに対する様々な反応が盛り上がりを見せ、そこから静まるまでの期間としては適当だ。傭兵団の上層部は、人々の反応をそれとなく観察し、その状…

黒き狼たちの戦記 第18話 頑張ったら被告人になりました

ノートメアシュトラーセ王国の都シャインフォハンに戻ったヴォルフリックたちを待っていたのは軍法会議。傭兵団に命じられた任務の遂行を放棄して、勝手な行動を取ったということで、吊し人のリーヴェスから告発されたのだ。 行動の結果としてヴォルフリック…

黒き狼たちの戦記 第17話 骨折り損のくたびれ儲け

ヴォルフリックたちがノイエラグーネ王国の都で拠点としているのは、地元の貧民街出身者を騙っているにも関わらず、表通りの高級ホテル。貧民街には本当にヴォルフリックたち、偽名ではアインとフォルス、が暮らしているか調べに来る可能性がある。裏通りの…

黒き狼たちの戦記 第16話 懐かしさに惹かれたわけではない

どこの国にも貧しい人たちが暮らす場所がある。もともと、とても人が住めるような場所ではなかったはずのそこに、どうしようもない事情があって住み着く人が出て、徐々にその数が増えて一定数を超えると、貧民街として確立して、さらに貧しい人が集まるよう…

黒き狼たちの戦記 第15話 思っていたより派手だった

ヴォルフリックたちの任務地はグリュックスインゼル王国。その都から東方に伸びる街道を国境近くまで進んだところにある山岳地帯だ。そこを抜けると、中央諸国連合加盟国の中でもっとも東に位置する、オストハウプトシュタット王国との争いにおいて最前線と…

黒き狼たちの戦記 第14話 狼たちが動き出す

ベルクムント王国の都ラングトア。大陸西部における最大都市であるラングトアはベルクムント王国の王都というだけでなく、西部全体の商業の中心都市という役割も担っている。ベルクムント王国国内だけでなく他国からも多くの商人がやってくるラングトアはそ…

黒き狼たちの戦記 第13話 変人扱いされるようなことか?

ヴォルフリックがアデリッサの招待を受けたのは翌日のこと。任務を前にして時間がない中だが、ヴォルフリックは約束通りに、それを受け、また城に向かうことになった。三人の従士も一緒だ。クローヴィスとフィデリオはアデリッサが何かを企んでいるのではな…