月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

ファンタジー小説-黒き狼たちの戦記

黒き狼たちの戦記 第84話 将来の可能性はひとつではない

対抗戦の開催が正式に発表された。名称は武術競技会で開催は感謝祭期間中。多くの団員に参加の機会を与える為に、前線に張り付いているチームも帰還出来る、その時期が選ばれたのだ。開催までは残り二か月。参加を迷っている人はまだ多いが、それに関係なく…

黒き狼たちの戦記 第83話 意外といえば意外な事実

二人で部屋を出たシュバルツとディアーク。並んで歩きながら話をするのは、結局、任務のこと。シュタインフルス王国の今後の見通しについて。中央諸国連合に引き込むことは可能か。可能であるとすれば何が必要か。ベルクムント王国の出方次第という結論が共…

黒き狼たちの戦記 第82話 なんだか分からないけど、こういうのは二度とごめんだ

シュバルツがアルカナ傭兵団の団長になることはない。トゥナのこの発言はディアークにとっては驚きで、シュバルツを排除したいと考えているルイーサもその真意を知りたがった。唯一、アーテルハイドだけは、少なくともシュバルツがその地位を喜んで引き受け…

黒き狼たちの戦記 第81話 強過ぎる想いは時に歪みを生む

アルカナ傭兵団の全団員が参加可能な競技大会。その成績によって傭兵団内の序列が決まり、従士であれば上級騎士に取り立てられチームを持つことが出来るという特別待遇が得られる。そんな団員であれば誰もが興味を惹かれるネタをぶち上げて、軍法会議の話題…

黒き狼たちの戦記 第80話 さすがにこれは怒って良いと思う

長期間の任務を終えてノートメアシュトラーセ王国の王都シャインフォハンに帰還したシュバルツたち。そこで待っていたのは思いがけない展開だった。またシュバルツが軍法会議にかけられることになったのだ。告発者はルイーサ。罪状は任務中に意図的に敵を利…

黒き狼たちの戦記 第79話 人をネタにして妄想するのは止めて欲しい

愚者の任務に関して、一部はまだ情報制限がかかっているが、そのおおよその内容は一般団員も知るところとなっている。もともと良くも悪くも目立っていて、その動向が注目されていたシュバルツ。その彼と愚者のメンバーの姿が一年以上、見られなかったのだ。…

黒き狼たちの戦記 第78話 相性ってやっぱり大事だと思う

ヘルツに会って話を聞き、事実関係をある程度確かめることが出来たカーロは、シュバルツに情報を届けてもらう手筈を整えた上で、城近くにある屋敷に向かった。ズィークフリート王子が謹慎期間中に過ごす場所として用意された屋敷だ。謹慎中だとしても、城か…

黒き狼たちの戦記 第77話 近づく心もあれば遠ざかる心もある

山中の拠点で待機していたキーラたちと合流して、シュバルツたちは山越えで隣国のベルクムント王国に向かった。アルカナ傭兵団としてのシュタインフルス王国での任務は終わり。そのまま自国に帰還することになる。 シュタインフルス王国に残ったのは教会に捕…

黒き狼たちの戦記 第76話 貧民街の秘密

愚者の任務は終了した。まだシュバルツたちは帰還途中で、今どこにいるのか本部では把握出来ていないが、報告は届いている。帰還後の任務完了報告を行うつもりがないのではないかと思うくらいに、詳細な報告が。 その報告内容についてディアークたちは話し合…

黒き狼たちの戦記 第75話 終わりの時は次への始まりの時

シュバルツたちの奇襲により、甚大な被害を受けたズィークフリート王子率いるベルクムント王国軍。目的地であるシュタインフルス王国への進軍を一旦、取りやめ。自国に帰還して対応を検討することになった。被害の多さが一番の理由であるが、それだけではな…

黒き狼たちの戦記 第74話 痛みを知っているから分かること

自分は何をしているのか。食堂の前を行ったり来たりしながらオトフリートは考えている。初めて入る店ではない。何度か訪れている場所だ。そうであることを父であり、国王であり、アルカナ傭兵団の団長であるディアークに知られてしまった。それがオトフリー…

黒き狼たちの戦記 第73話 いくつかの謎を残したまま、事は終わろうとしている

十人、二十人と増えていく教会騎士。その数にローデリカは一瞬、罠であることを疑った。だがそんなはずはない。聖神心教会がローデリカの存在など知っているはずがない。罠に嵌める理由がない。ではシュバルツに対する罠かとも思ったが、それもすぐに否定す…

黒き狼たちの戦記 第72話 今日は予定が重なっていて大忙しです

ズィークフリート王子がいる天幕は夜営地の中央付近、周囲からもっとも遠い場所にある。グローセンハング王国は従属国であるとはいえ、油断は出来ない。こういうことではあるが、今回が特別というわけではなく、たんに規則に従って設営されているだけ。実際…

黒き狼たちの戦記 第71話 視えなかったものが視えるということ

シュタインフルス王国の状況は逐一、アルカナ傭兵団本部に伝えられるようになっている。状況は悪いものではない。アルカナ傭兵団として、中欧諸国連合として何をもって任務は成功というのか今となっては微妙だが、愚者から伝えられていた通りの展開になって…

黒き狼たちの戦記 第70話 お節介好きに年齢は関係ないようだ

グローセンハング王国の王都シュヴェアヴェルを訪れているヴォルフリックたちが拠点にしているのは、繁華街の裏路地にある安宿、を装っている黒狼団の隠れ家。ピークとクロイツが、コーツ一家の一員としてシュヴェアヴェルに進出したあとに作った隠れ家だ。…

黒き狼たちの戦記 第69話 再会の時は不意に訪れる

かなりの人気店であるエマの食堂だが、お昼時を過ぎれば客足も途絶え、店は閑散とした雰囲気に変わる。午後の仕事が始まり、食堂でのんびりしていられる時間の余裕はないのだ。逆にエマたち食堂で働く人たちにとっては一息つける時間。後片付けを終え、夜の…

黒き狼たちの戦記 第68話 信頼には信頼で応えたい、けど

ベルクムント王国にシュタインフルス王国の使者が訪れ、救援要請が行われた。これによりシュタインフルス王国の内乱は公式のものとなった。常日頃から従属国に不穏な動きがないか監視を行っているベルクムント王国にとっては既知の事実なのだが、シュタイン…

黒き狼たちの戦記 第67話 少しだけ結末は以前とは違ってくるもしれない

シュタインフルス王国の内乱はさらにその規模を拡大しようとしている。アンドレーアス王はライヘンベルク王国との国境に貼り付けていた王国軍を王都に呼び戻し、討伐軍を再編。その数は五千。ほぼ全戦力を投入する形だ。 一方でクノル侯爵は他の有力貴族家に…

黒き狼たちの戦記 第66話 悪魔のほほ笑みってこういうことか

絶対的な切り札、とされている、ベスティエを投入しながらの敗戦。しかも送り込んだ千名の部隊が一人も帰還してこないという惨敗だ。この結果を知ったシュタインフルス王国の動揺は凄まじい。やや誇張も含みながらベスティエの恐ろしさを世間に知らしめてい…

黒き狼たちの戦記 第65話 遠ざけられていた事実を目の当たりにする

ベスティエを加えたシュタインフルス王国軍は王都を進発すると、とりあえずその進路を反乱軍の動きが活発な北部に向けた。反乱軍を討つ。目的は明確だが、反乱軍の本拠地を突き止めていない為に、目標は明確にはなっていなかったのだ。だが王国軍はあてもな…

黒き狼たちの戦記 登場人物一覧~第64話時点~ ※ネタバレ注意

◆◆◆ 登場人物一覧 ~第64話時点~ ◆◆◆ PC故障で作品データが壊れてしまったので再作成したついでに投稿します。 ※ネタバレ注意 【黒狼団および主人公の近親者】 名前:シュバルツもしくはヴォルフリック(公式名はリステアード=ディートリッヒ)性別:男…

黒き狼たちの戦記 第64話 理想と現実の狭間で悩むのは若さの証なのか?

敵の動きを読み、時には策を用いて動かして、数百人規模の戦いの場を作り出し、勝利を重ねていく。反乱軍は連戦連勝。シュタインフルス王国の人々の心に「もしかすると」という思いが浮かぶようになった。だがそこまでだ。反乱の火が王国全土に広がる気配は…

黒き狼たちの戦記 第63話 終わりの姿が見えない中、人々は動いている

バックアッププランの検討、準備は進めていても、それ以外は、王都でただ伝書烏が届ける伝書を待っているしかなかったディアークたちにも、ようやくシュタインフルス王国内の状況が理解出来るようになってきた。隣国のノイエラグーネ王国の国境近くの街ガル…

黒き狼たちの戦記 第62話 謀はそうであると分からないから謀なのだ

目の前に展開しているのはシュタインフルス王国軍四百。対する反乱軍は三百。そのうちの百は飾り物だが、当然、敵であるシュタインフルス王国軍はそれを知らない。フォークラー家の旗が立つ、コンラート自身が率いる本軍。そう思わせることで敵の動きに制約…

黒き狼たちの戦記 第61話 可能性を追い求めて何が悪い?

ヴォルフリックたちの行動によって大いに動揺しているのはシュタインフルス王国だけではない。彼らを送り出したアルカナ傭兵団もまた違う意味でひどく驚かされている。普通のやり方を選ばないことは予想通り。だが反乱を起こすという選択は想像以上のものだ…

黒き狼たちの戦記 第60話 敵を知る、ことが出来ていない

シュタインフルス王国は、決して豊かとはいえない国で、民の暮らしはかなり厳しいものだ。シュタインフルス王国は中央諸国連合加盟国であるノイエラグーネ王国と国境を接している。もともと国力が低かった上に、軍事力の強化に資源を集中させなければならな…

黒き狼たちの戦記 第59話 悪魔の微笑み、ってどんなの?

愚者がノイエラグーネ王国を出て、山越えルートを使ってライヘンベルク王国に向かったという連絡があってから三か月。今回の任務がかなりの長期に渡ることは初めから分かっていたが、それでもさすがに三か月の音信不通は普通ではない。実際はノイエラグーネ…

黒き狼たちの戦記 第58話 演者をスカウトしてみた

シュタインフルス王国の都アインシュネスバッハ。北門からまっすぐに城に伸びる大通りにある大広場。その場所に今、多くの人が集まっている。大広場は普段から多くの人が行き交う賑やかな場所であり、人の数もいつもと同じかそれ以上であるのだが、今は張り…

黒き狼たちの戦記 第57話 悪だくみが絶えることはない

エーデルハウプトシュタット教国は聖神心教会の総本山。だが教会の運営のほとんどは各教会、もしくはそれを束ねる教区に任されている。大陸全土に教会がある為に、一極集中で日々の運営状況を管理することなど不可能なのだ。 事実ではある。だが、それが結果…

黒き狼たちの戦記 第56話 真実なんて簡単に辿りけるものじゃない

幼い頃から周囲は常に温もりを感じさせてくれる雰囲気だった。誰もが自分に笑みを向け、何か行えば褒めてくれた。そうであることが当たり前だった。 世の中に悪意というものが存在するのを知ったのは八歳の時。父に剣を教えてもらえることが決まったあとだっ…