帝国騎士養成学校の授業は日々、帝国騎士団との合同訓練のようになった。と言っても、まったく同じ訓練を行っているわけではない。帝国騎士団の団員たちは、従士を除けば、基本、教える側。一人の教師役が教える騎士候補生の数を大きく減らすことが目的だ。…
夜空をゆっくりと流れる雲が月を隠し、辺りは闇に包まれている。耳に届くのは虫の音。だが今の彼に風流を楽しむ余裕などない。闇の中を動く人の影は見えない。足音も聞こえない。それでも人はいる。同じように闇に潜む彼を探す者たちが。 突然の襲撃だった。…
新学期の始まり。ローレルたちは二年生になった。といっても特別何かあるわけではない。騎士養成学校での訓練の日々が、二年目に突入したというだけのことだ。 新一年生が入学しても日常の交流などない。上級生ともそれは同じ。帝国騎士養成学校においては先…
イアールンヴィズ騎士団の訓練は以前よりも、リルやシュライクたち、ガラクシアス騎士団の若手が参加するようになってからよりも更に激しさを増している。プリムローズ救出作戦がその理由だ。 プリムローズの救出には成功したが、参加したイアールンヴィズ騎…
帝都第三層、商業地区の表通りにある酒場でベンティスカは元コープス騎士団の仲間と会っている。イアールンヴィズ騎士団に勧誘する為だ。相手はグラトニー団長に指定された通り、二人。ベンティスカとしてはもう少し人数を増やしたところだが、団長の指示を…
イアールンヴィズ騎士団の拠点をリルたちは訪れている。団長のグラトニーに、至急ということで呼び出されたのだ。そのような呼び出しは初めてのこと。何事が起きたのかと思い、慌ててやってきたリルたちだったが、状況は想定外のものだった。いるはずのない…