月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

災厄の神の落し子 第26話 狐につままれた

謎の男の先導でローレルとリルは皇城の奥に進んでいる。なんとなく奥に進んでいるのだろうと思っているだけで、実際にどこを歩いているのか、二人には分からない。何度か皇城を訪れたことのあるローレルも、知っているのは宴の間などがある、割と出入りが自…

災厄の神の落し子 第25話 正しいことを正しく行う覚悟

帝都の貴族屋敷は帝都中央部、皇城の外側を囲む区域に集中している。帝都常駐の貴族家は皇城防衛も担っている。帝都の内壁が突破され、皇城に迫る敵を防ぐ盾とならなければならないのだ。 というのは帝国建国時の話。今、帝都に常駐している貴族家は、自分た…

災厄の神の落し子 第24話 求めるものは人それぞれ

帝国騎士養成学校には身分による差別がない。貴族であろうと平民であろうと門戸は開かれており、入学後も貴族家の人間が特別扱いされることはない。これは創立者であるサウラク二世が決めたことであるので、徹底されている。 だが、そう定められているからと…

災厄の神の落し子 第23話 憂い

アークトゥルス帝国の皇太子フォルナシスは現在、二十四歳。皇太子であると周囲からは認められているが、未だ成人式は行われていない。フォルナシスは、帝国における地位と皇帝家としての継承儀式は別という、かなり強引な理屈で皇太子になった。当時の宰相…

災厄の神の落し子 第22話 止まらない流れ

帝国騎士養成学校の講師の多くは帝国騎士団の団員、もしくは元団員だ。帝国騎士団の騎士を育てる学校であるのだから当たり前、ということではない。かつては専任の、元団員であることが多かったが、講師がいた。だが帝国の財政が厳しくなるにつれ、人件費の…

災厄の神の落し子 第21話 無自覚な出会い

騎士養成学校の毎日は午前中は戦術基礎の講義。午後はひたすら体力作りの授業となっている。元々、素人を一から従士見習いに育て上げる為に考えられた授業内容だ。入学当初は基礎、基礎、基礎。ひたすら基礎を叩き込まれる期間となっている。 これを物足りな…