謎の男の先導でローレルとリルは皇城の奥に進んでいる。なんとなく奥に進んでいるのだろうと思っているだけで、実際にどこを歩いているのか、二人には分からない。何度か皇城を訪れたことのあるローレルも、知っているのは宴の間などがある、割と出入りが自…
帝都の貴族屋敷は帝都中央部、皇城の外側を囲む区域に集中している。帝都常駐の貴族家は皇城防衛も担っている。帝都の内壁が突破され、皇城に迫る敵を防ぐ盾とならなければならないのだ。 というのは帝国建国時の話。今、帝都に常駐している貴族家は、自分た…
帝国騎士養成学校には身分による差別がない。貴族であろうと平民であろうと門戸は開かれており、入学後も貴族家の人間が特別扱いされることはない。これは創立者であるサウラク二世が決めたことであるので、徹底されている。 だが、そう定められているからと…
アークトゥルス帝国の皇太子フォルナシスは現在、二十四歳。皇太子であると周囲からは認められているが、未だ成人式は行われていない。フォルナシスは、帝国における地位と皇帝家としての継承儀式は別という、かなり強引な理屈で皇太子になった。当時の宰相…
帝国騎士養成学校の講師の多くは帝国騎士団の団員、もしくは元団員だ。帝国騎士団の騎士を育てる学校であるのだから当たり前、ということではない。かつては専任の、元団員であることが多かったが、講師がいた。だが帝国の財政が厳しくなるにつれ、人件費の…
騎士養成学校の毎日は午前中は戦術基礎の講義。午後はひたすら体力作りの授業となっている。元々、素人を一から従士見習いに育て上げる為に考えられた授業内容だ。入学当初は基礎、基礎、基礎。ひたすら基礎を叩き込まれる期間となっている。 これを物足りな…