魔道が起動し、魔道石に込められていた魔力が活性化する。巨大な魔道石に、長い時をかけて蓄積された魔力。眠っていたそれが起き上り、大きく膨れ上がっていく。魔力を扱えない人でも、近くにいればそれをはっきりと感じられるくらいの強烈な魔力の膨張だ。 …
ゲルメニア族にとっての誤算は、一族で五本の指に入る、馬鹿力だけであれば一番の戦士が、これまで見たことのない正体不明の敵騎士に討たれたこと。それも、ゲルメニア族から見て、完敗と言うべき内容で討たれたことだ。 今回の戦いの為に用意した巨大ブーメ…
ゲルメニア族との戦いの場とされたのは、モルクインゴンの街から一日の距離にある場所。街の近くまで攻め込まれているとレグルスは聞いていたが、実際には最前線となる場所は別にあった。収穫物の簒奪や焼き払いなど直接的な戦闘以外を目的とした少数での接…
王都を出て、北方辺境伯領のモルクインゴンに向かう馬車。レグルスが使っていたブラックバーン家の馬車とは異なり、どこにでもある普通の荷馬車だ。その荷馬車にわずかな荷物と何人もの人が乗っている。レグルスの後を追うジュードたちだ。 「こんなに大勢で…
レグルスがいなくなった王立中央学院では、それ以前と変わらず、学院生たちの熱のこもった授業が行われている。レグルスがいなくなった影響はない、ということでもない。熱意を高めている学院生の中心は、タイラーとキャリナローズ。レグルスと再会を誓った…
王都のブラックバーン家は、未だに失ったものの大きさを理解していない。この先も理解することはないだろう。理解出来るのであれば、このような状況にはなっていない。守護家の一つ、北方辺境伯家ブラックバーンは、少なくとも王都ブラックバーン家はその力…