シュバルツたちの奇襲により、甚大な被害を受けたズィークフリート王子率いるベルクムント王国軍。目的地であるシュタインフルス王国への進軍を一旦、取りやめ。自国に帰還して対応を検討することになった。被害の多さが一番の理由であるが、それだけではな…
自分は何をしているのか。食堂の前を行ったり来たりしながらオトフリートは考えている。初めて入る店ではない。何度か訪れている場所だ。そうであることを父であり、国王であり、アルカナ傭兵団の団長であるディアークに知られてしまった。それがオトフリー…
十人、二十人と増えていく教会騎士。その数にローデリカは一瞬、罠であることを疑った。だがそんなはずはない。聖神心教会がローデリカの存在など知っているはずがない。罠に嵌める理由がない。ではシュバルツに対する罠かとも思ったが、それもすぐに否定す…
ズィークフリート王子がいる天幕は夜営地の中央付近、周囲からもっとも遠い場所にある。グローセンハング王国は従属国であるとはいえ、油断は出来ない。こういうことではあるが、今回が特別というわけではなく、たんに規則に従って設営されているだけ。実際…
この辺りでは一際大きな木。その大木の根元近くにある盛り上がった土、三つのそれにそれぞれ剣が突き立てられている。墓標代わりだ。 裏切った三人の騎士たちの墓の前で、じっと佇んでいるクロード。夜も明けて出発の時。最後の別れを惜しんでいるのだ。 「……
シュタインフルス王国の状況は逐一、アルカナ傭兵団本部に伝えられるようになっている。状況は悪いものではない。アルカナ傭兵団として、中欧諸国連合として何をもって任務は成功というのか今となっては微妙だが、愚者から伝えられていた通りの展開になって…