月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

黒き狼たちの戦記 第42話 戦う前から想定外

戦争に向けて準備を行っているのはアルカナ傭兵団だけではない。人知れず動いている組織がある。黒狼団だ。ベルクムント王国との戦いが始まると聞いたロートは、情報集めに動いた。太い情報源は今はまだいない。それでも食堂の、エマのかもしれないが、評判…

四季は大地を駆け巡る #150 新たな道

ドュンケルハイト大森林内の旧都。その中の一際大きな建物の一室でヒューガとイーストエンド侯爵は向かい合っている。イーストエンド侯爵にとって待ちに待った話し合いの場が用意されたのだ。同席しているのはクラウディアとカルポだけ。国同士の正式な交渉…

四季は大地を駆け巡る #149 罪と罰

パルス王国と魔王軍との間で、また大きな戦いが行われた。イーストエンド侯爵領に向かっていたパルス王国軍に対して、イエナ率いる魔王軍が奇襲を仕掛けたのだ。戦闘が開始したばかりの時こそ、魔王軍が優勢に戦いを進めていたが、すぐに膠着状態に入る。あ…

四季は大地を駆け巡る #148 想いの強さ

クラウディアの日常において拘束される時間はイーストエンド侯爵と話し合う時間しかない。それ以外の時間は全て自由時間。やることがないという状況は、クラウディアに疎外感を覚えさせてしまうものであるが、今は仕方がない。公式には彼女は無役。仮に正式…

黒き狼たちの戦記 第41話 視えないもの。視たくないもの

自分が特別であることに気が付いたのはいつのことだったか。記憶を探っても見つからない。特別であることが苦痛になった日のことは覚えている。何年何月なんて記憶はないが、その時の感情は今も胸にはっきりと刻まれている。 父親は商人だった。大商家といえ…

黒き狼たちの戦記 第40話 黒狼と呼ばれていたからって獣扱いするな

出陣の準備にアルカナ傭兵団施設は賑わっている。実際の準備は軍政局の仕事で、傭兵団の団員が行うことはそれほどないのだが、大国との戦争を前に気持ちが高ぶっていて、何をするにも騒がしくなってしまうのだ。 鍛錬場も多くの団員で賑わっている。残りわず…