月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

勇者の影で生まれた英雄 #149 善悪と正誤

憧れていたグレンの成り上がり英雄譚。それが自分の思っていたようなものではなかったことをクリスティーナ王女は思い知らされた。勝者の反対側には敗者がいる。勝者側の英雄は敗者の側から見れば大悪人だということを彼女は知った。 クリスティーナ王女が決…

勇者の影で生まれた英雄 #148 優しい人々に囲まれて

フローラが街に出られる機会が増えている。今の段階で正式に王妃にするという決断はエドワード王には出来ない。そうであってもフローラの魅力を無駄にすることはない。多くの護衛を従え、王家の紋章が記された馬車に乗っていれば人々は勝手にそういう立場の…

勇者の影で生まれた英雄 #147 別の価値

第三軍の出撃は見送られている。中央を空にするわけにはいかない、というだけでなく訓練不足もその理由だ。トリプルテンの影響で多くの部隊でかなり厳しい訓練が行われるようになっているが、その成果が現れるにはまだ時間がかかる。ある程度、形になったと…

勇者の影で生まれた英雄 #146 神輿だってただ担がれていれば良いわけではない

虐殺の舞台として選ばれた村はレジス。三百人ほどの人々が住む、モンタナ王国では比較的大きな村だ。 その村が選ばれたのには一応は理由がある。領政への不満から過去に何度か騒動を起こしたことがあるからだ。不満を持たせるような政治を行うのが悪い、なん…

勇者の影で生まれた英雄 #145 心の支え

この先、クリスティーナ王女に対する策略はもっと分かりやすい形で動き出す。こう予想していたグレンではあったが、実際に起きた動きは意外なものだった。大勢の義勇兵が駐留していたハムスの街から消えたのだ。もっとも消えたと思っているのはクリスティー…

勇者の影で生まれた英雄 #144 迷信

ウェヌス王国軍が国境を侵犯した情報がモンタナ王国に届いた。初めはその意図が分からず、王弟に休戦を申し込むなどした国王ではあったが、その答えが拒否、それも王弟派の積極攻勢という形で返されたことで、ようやく事態を理解した。 そうなると国王側の危…