タリア王国からの依頼を受けるかどうか。これについては、リオンの考えは決っている。まだ子供でありながら、王としての風格を見せたタリア国王にリオンは感心している。自分が持たない覚悟を、タリア国王が持っている事にも。 タリア国王を名だけの国王で終…
メリカ王国軍は侵攻作戦の失敗を悟って、送り込んだ部隊を全て撤退させた。その時には既にかなりの部隊が襲撃を受けていたので、手遅れと言えばそうなのだが、それでも放置しておく訳にはいかない。侵攻を続ければ、それだけ撃破される部隊が増えるだけなの…
グランフラム王国に新たな動乱が巻き起ころうとしている中、それよりも一足も二足も早く、大陸東南部で戦争が行われていた。メリカ王国と、その東にある幾つかの小国の連合、東方諸国連合との戦いだ。 グランフラム王国との決戦を前に東方平定を試みたメリカ…
王族の生活空間である城の奥は、仕える侍女以外は、近衛であっても極限られた者しか立ち入りが許されない閉鎖空間だ。奥に住む者に外部の者が面会する場合は、奥の手前にある謁見室を利用する事になる。 その謁見室の一つで、エアリエルは訪れた者たちと向か…
西部国境の街カンザワ。跡継ぎの座を追われたランスロットが領主として流されたノウトの中心都市だ。だがこの四年間で、この辺境のノウトがグランフラム王国内でもっとも発展した土地となった。 これはマリアの力が大きい。今のマリアの自信は、かつての思い…
アーノルド王太子の視線に気付いたマリアが近づいてくる。ランスロットに同行を頼むことなく一人でだ。 ランスロットの妻といってもマリア本人は無爵位。一人で王族の前に出るのは無礼なのだが、本人には全く気にする様子はない。実に嬉しそうな笑みを浮かべ…