ルート王国の都ルーテイジは賓客を迎えて、大騒ぎになっている。訪れたのはゼクソン王国の国王ヴィクトルとその母ヴィクトリア。幼いとはいえ、一国の王を迎え入れるのだ。それなりの形式を整えなければならない。なんといってもルート王国の人々が、それを…
王位に就いてからエドワードは精力的に働いている。その勤勉さは部下たちが新王に期待していた通りか、それ以上のもの。そんな新王エドワードの動きは、これまで国政の場に漂っていた衰退の匂いを吹き飛ばし、人々に活気を取り戻させることになる。 なんて話…
灰色のコンクリートに囲まれた部屋。中央に置かれているのはテーブル、そしてそのテーブルを挟んで向かい合う形で置かれている二脚のパイプ椅子。その片方に両手両足を拘束されたまま、尊は座らされている。 ぼんやりとした表情の尊。ぼんやりとした様子を見…
王都に連行されたランカスター侯爵と次男のロイド。エドワード王はすぐに二人と話し合いの場をもった。それも余人を交えない、二人だけでのし合いだ。 ランカスター侯爵家の二人との話を、他の者には聞かせたくないのだ。その理由は。 「……嘘だ。父上がその…
元大統領との交渉には成功した葛城陸将補だが、動きは相手のほうが早かった。ずっと前から動かれていたのだ。そうなるのも当然だ。元大統領の屋敷を訪れたことが知られ、相手の動きを加速させたという面もある。真っ昼間に屋敷に堂々と姿を現せば、知られる…
ジョシュア国王の早過ぎる死。それはウェヌス王国に驚愕をもたらした。 だが、もたらしたのは驚愕だけだった。グレンを題材とした小説の影響によって、ジョシュア国王に好意を向けることとなった極々少数の国民の涙を除けば、悲しみも混乱も広がることはなく…