月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

勇者の影で生まれた英雄 #125 小さなズレ

王都に連行されたランカスター侯爵と次男のロイド。エドワード王はすぐに二人と話し合いの場をもった。それも余人を交えない、二人だけでのし合いだ。 ランカスター侯爵家の二人との話を、他の者には聞かせたくないのだ。その理由は。 「……嘘だ。父上がその…

逢魔が時に龍が舞う 第35話 解散

元大統領との交渉には成功した葛城陸将補だが、動きは相手のほうが早かった。ずっと前から動かれていたのだ。そうなるのも当然だ。元大統領の屋敷を訪れたことが知られ、相手の動きを加速させたという面もある。真っ昼間に屋敷に堂々と姿を現せば、知られる…

勇者の影で生まれた英雄 #124 政変

ジョシュア国王の早過ぎる死。それはウェヌス王国に驚愕をもたらした。 だが、もたらしたのは驚愕だけだった。グレンを題材とした小説の影響によって、ジョシュア国王に好意を向けることとなった極々少数の国民の涙を除けば、悲しみも混乱も広がることはなく…

勇者の影で生まれた英雄 #123 異変

侯爵家といっても領内に大都市をいくつも抱えているわけではない。大都市といえるのは領主館がある街くらいで、それ以外は小さな街ばかりだ。 暴動が起きたバッカスもその一つ。ランカスター侯爵領の南東の外れにある街で、特別な産業も豊かな耕作地もない貧…

逢魔が時に龍が舞う 第34話 政治

尊と約束した通り、葛城陸将補は行動を起こした。何の勝算もない行動だ。だが第七七四特務部隊の部隊長とはいえ、一軍人に過ぎない葛城陸将補には、それしか出来ることがないのだ。 久しぶりに訪れた新都心。高層ビルが立ち並ぶ新都心の道路を徒歩で進む葛城…

勇者の影で生まれた英雄 #122 まだ終わっていない

どうしてこうなった。今のランカスター侯爵の気持ちを言葉にするとこれだ。万全の準備を整えて、動き出したはずだった。アシュラム戦役で軍部の実権を握り、戦争を自由に行えるようにする。 その後、ゼクソン王国を滅ぼして、その地に王を据える。ランカスタ…