月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

勇者の影で生まれた英雄 #113 アシュラム戦役の後で

エステスト城砦の一室にゼクソン王国とウェヌス王国の外交担当者が集まっていた。アシュラム王国との戦いの後処理が会談における議題だ。 ゼクソン王国側の代表者はエルンスト伯爵。ウェヌス王国側はランカスター宰相だ。ランカスター宰相は事態が予想外の方…

勇者の影で生まれた英雄 #112 城砦の旗

全軍での総攻撃を決めた翌日。勇者軍は早朝からその準備に入っていた。本陣では総攻撃にあたっての戦法の確認を行うために大隊長以上の将官が集まっている。 それを率いる健太郎はといえば、上座に座ったままテーブルに突っ伏していた。 「ケン様、全員集ま…

勇者の影で生まれた英雄 #111 国境の攻防

ウェヌス王国とアシュラム王国との国境にある城砦。その城砦に向かって大小様々な石が大量に降り注いでいく。勇者軍の投石器が発した石だ。 健太郎が考えに考えた自軍の強化策。それは結局、各種兵器を大量に運用するというものだった。大国ウェヌスの国力を…

勇者の影で生まれた英雄 #110 手の平の上

ランカスター侯爵屋敷の一室にレスリーは呼び出された。呼び出したのは兄であるランカスター宰相だ。会議の場で健太郎が発した「恩賞としてアシュラムを」という要求。ランカスター宰相はそれを入れ知恵したとすればレスリーだと疑っていたのだが。 「私は知…

勇者の影で生まれた英雄 #109 新たな戦い

ウェヌス王都。王城の大広間では今まさにアシュラム王国への侵攻が決定されようとしていた。居並ぶ重臣を前にランカスター宰相はジョシュア王に向かい合っている。 「アシュラム王国への侵攻を決定したいと思います」 「また戦争か。ゼクソンとの戦争が同盟…

勇者の影で生まれた英雄 #108 謀略

「行ったり来たり忙しい奴だな」 これがゼクソン王都に到着したグレンに向けてのヴィクトリアの第一声だった。それを聞いて、グレンは青筋の立て方を教えてもらいたくなった。グレンが忙しくしている原因の一端はヴィクトリアにもあるのだ。 「わざと怒らせ…