月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

勇者の影で生まれた英雄 #100 偽りの恋

会議が終わった健太郎を、いつもの様に結衣とレスリー・ランカスターは部屋で迎えた。 二人の前の椅子に座った健太郎。だが何も話をすることなく口を真一文字に結んだまま、じっと考え込んでいる。 その健太郎に焦れて結衣が文句を口にする。 「どうしたの?…

勇者の影で生まれた英雄 #99 覚悟

ウェヌス城内の会議室ではゼクソン王国との交渉結果についての報告が行われていた。それを聞いた出席者の誰もが思ってもみなかった内容に愕然としている。 ランカスター宰相にいたっては強く拳を握りしめて、あからさまに怒りを示している。 「もう一度、言…

勇者の影で生まれた英雄 #98 ハーレム?

軽く口づけを交わした後のグレンとメアリー王女。二人とも少し照れた様子で顔を赤くして、それ以上何かをすることはなく、それでいて離れることには抵抗があるようで体を寄せ合ってソファに座っている。ソフィアとヴィクトリアがこの光景を見れば、何を純情…

勇者の影で生まれた英雄 #97 邂逅の時

グレンがルート王国に帰国したのは国政の状況を確認する為だけではない。ゼクソン王国とウェヌス王国との交渉の場であるエステスト城砦は、ゼクソン王都よりもルーテイジの方が近い位置にある。交渉の状況によってグレンの判断が必要になった時の為に、より…

勇者の影で生まれた英雄 #96 王の背中

ルート王国に戻った翌日。グレンはハインツたち三人を連れて軍の演習場に向かった。演習場といっても決められた場所があるわけではない。ルーテイジ周辺の空き地を利用して、調練は行われているのだ。 目的の場所に向かって、のんびりと騎馬を進ませるグレン…

異伝ブルーメンリッター戦記 第106話 実家にご挨拶に、ということではない

アイネマンシャフト王国の都の名称はノイエーラに決まった。皆に求められてジグルスが名付けたのだ。新時代という意味の言葉を発音しやすく変えたもの。嫌々ながら、それでもそれなりに真剣に考えた名称であり、周囲の受けも悪くない。新時代という言葉は大…