月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

四季は大地を駆け巡る #116 大国を覆う影

ユーロン双王国に遠征していたパルス王国軍は大混乱に陥った。 いよいよ決戦の日。そう思って陣を整えて、開戦を待っていたのだが、いつまで経っても戦いが始まらない。次兄王の元に開戦を促す使者を送っても、何の返答もないどころか送った使者も戻ってこな…

四季は大地を駆け巡る #114 混乱は続く

アイントラハト王国王城内の執務室で、机の上に山と積まれている書類を処理し続けていたヒューガ。その手が止まり、視線が前を向く。 このところ毎日のようにヒューガの執務室を訪れて、その場に居座り続けている女性。勝手に正面に椅子を置き、それに座って…

四季は大地を駆け巡る #113 謀略の後始末

一万の軍勢に囲まれたユーロン双王国の末弟王ネロの館。館の主であったネロはすでにこの世の人ではなくなっているが、次兄王はそれで終わりにはしなかった。 館の周囲を取り囲んだ軍勢から放たれた火矢。あちこちで炎が立ち上り、黒煙が空を曇らせる。火事か…

四季は大地を駆け巡る #112 儚い野心

パルス王国に新王が即位して半年以上が経った。その間、パルス王国は特に大きな問題もなく落ち着いている。親王派という新たな派閥の登場は人々を驚かせたが、それによりパルス王国の政治に乱れが生じるようなことはなかった。 そもそも新たな派閥の領主とな…

四季は大地を駆け巡る #111 歪んだプライド

パルス王国とミネルバ王国との国境付近にある森林地帯。そこにある岩山に空いた小さな穴。人が二人で通れるかどうか程度の穴ではあるが、その穴の奥には驚くほど広い空間が広がっている。 先に進むにつれて幾つにも分岐する横穴。一度奥まで入ってしまうと二…

四季は大地を駆け巡る #110 決裂

婚姻の儀に続いて、新王即位の儀が行われて数日後。一般の人々の生活が普段のものとなったと同じように、王城に勤める人たちも宴の気分を振り払い、日々の仕事に勤しんでいる。そしてそれは国政を担う重臣達も同じ。 今日も定例の閣僚会議が始まった。玉座に…