月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

四季は大地を駆け巡る #109 評価は一方的に行われるものではない

ぎりぎりで釣れたイーストエンド侯爵にヒューガが案内されたのは、披露の儀が行われている大広間のすぐ近くにある部屋。今回のように宴が行われる時の来客者の控室として使われる部屋の一つだ。 来客者に割り当てないで余らしている部屋なので、それほど豪奢…

四季は大地を駆け巡る #108 これも外交といえるのだろうか?

婚約披露の儀はローズマリー王女とアレックスの登場で一気に盛り上がった……という事にはならなかった。特に国内の貴族たちはパルス王国の国政の実権が再び四エンド家に戻った事を知っている。それに対して新たな王になるはずのアレックスはどうでるか。自分…

四季は大地を駆け巡る #106 駆け引き

先王の一年の喪が明けたと同時に取り払われた弔旗に代わって、王都のあちこちにパルス王国旗が掲げられている。金糸で縁取られた赤の布地に王冠をかぶった金色の獅子の姿。戦いの場で常に建国王の側にいたと言う金色の獅子の伝承に基づいて作成された図柄だ…

四季は大地を駆け巡る #105 時代は変わる

戦後処理が終わってアレックスは報告書に追われることはなくなった。近衛第一大長の職もすでに退いており、現在のアレックスは近衛大隊付という形での実質、無職。あとはただ婚姻の儀、その後に控える即位の儀を待つだけの身だ。 だがアレックスの毎日は忙し…

四季は大地を駆け巡る #104 恋は錯覚と紙一重

パルス王国が行方を捜している魔王軍残党は、パルス王国の予想を覆して、ノースエンド伯爵領の東にある森林地帯にいた。 魔族は森の奥をいくつもの小集団に分散して森林地帯を進んでいる。目的地はイーストエンド侯爵領の南方。東方同盟との国境にある森林地…

四季は大地を駆け巡る #103 勝って兜の緒を締めよ

国王の死から半年以上も経つと国民感情も以前と変わらないものになる。街には相変わらず多くの弔旗が掲げられているが、住民の多くはそれに慣れており、特に気にすることなく日常生活を営むようになっている。表面上、王都は元の賑わいを取り戻していた。 だ…