月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

異伝ブルーメンリッター戦記 第96話 出会うべくして出会った二人

キルシュバオム公爵家によるローゼンガルテン王国支配は、当初の想定とは大きく異なり、停滞している。そもそも当初の想定が楽観的であり過ぎたのだ。魔人との戦いの最中に簒奪を行うことそのものが極めて楽観的ということだが。 ただキルシュバオム公爵であ…

四季は大地を駆け巡る #102 お節介は時に煩わしく、時にありがたい

ローズマリー王女の婚約者、次代の王位を継ぐ者となっても正式の婚儀を終え、王への即位の儀を終わらせるまでは、アレックスは近衛第一大隊長のままだ。特にやる事は変わらない。変わった事といえば、総大将としての戦後処理で山ほどの報告書に目を通し、そ…

悪役令嬢に恋をして 第70話 フレイ子爵の反乱

メリカ王国のオリビア王女が捕虜になっている。この事実をグランフラム王国は、事もあろうにメリカ王国から教えられて初めて知った。戦後の交渉の為にと現れたメリカ王国の使者が真っ先にこれを話したのだ。 全く事情を知らないグランフラム王国側の交渉担当…

四季は大地を駆け巡る #101 政争の勝者

王都はひっそりと静まり返っている。建物には黒い弔旗が掲げられていて、それがなお一層、王都の雰囲気を暗いものにしている。その王都の大通りをゆっくりと進む軍。魔族領侵攻軍だ。 盛大な凱旋式典など当然行われない。一旦、王都の外で野営地を組んだ軍は…

悪役令嬢に恋をして 第69話 戦いの結末は、次の戦いの始まり

オクス王国との国境に後少しの位置まで、グランフラム王国の軍勢は退却してきた。後は、国境の緩衝地帯となっている丘陵地を超えるだけ。それで、オクス王国の領内に逃げ込む事が出来る。 だが、その丘陵地の入り口でグランフラム王国軍は移動を止めて、陣形…

四季は大地を駆け巡る #100 揺れるパルス王国

この数か月、パルス王国は激動の時を迎えている。時に悲痛が、時に歓喜がパルス王国に住む人々の間を駆け巡った。 最初に届いたのは訃報。ノースエンド伯が魔族との戦いで戦死したというものだ。事情を知っている者にとってそれはにわかには信じがたいものだ…