月の文庫ブログ

月野文人です。異世界物のファンタジー小説を書いています。このブログは自分がこれまで書き散らかしたまま眠らせていた作品、まったく一から始める作品など、とにかくあまり考えずに気の向くままに投稿するブログです。気に入った作品を見つけてもらえると嬉しいです。 掲載小説の一覧(第一話)はリンクの「掲載小説一覧」をクリックして下さい。よろしくお願いします。 

悪役令嬢に恋をして 第57話 束の間の休息

何かと周囲を悩ますリオンだが、その影響を受けた者がまた一人増えた。近衛騎士のソルだ。戦いを共にはしていたが、常に一定の距離感を保って、ソルはリオンに接していた。 何故かと聞かれてもソルは何も答えられない。敢えて答えれば、近づいてしまうと、ず…

四季は大地を駆け巡る #64 ドワーフ族

目の前に立っている息子を見つめる彼の表情には苦いものが浮かんでいる。おどおどした様子で、威厳など欠片も感じられない。ドワーフの王である彼にとっては表情そのまま、苦々しいものだ。 ドワーフの王は各部族の長の中からもっとも相応しい者が選ばれる。…

悪役令嬢に恋をして 第56話 届かぬ思い

ニガータでの戦いについての反省会を終えて、リオンもエアリエルと二人、のつもりだったが、シャルロットが付いてきたので、三人で食事に出た。初めての街なので適当に店を選んでなどという事はなく、戦いの前から美味しいと評判の店を予め調べさせて予約ま…

四季は大地を駆け巡る #63 野心

野営地はひっそりと静まり返っている。戦いが終わるたびに優斗は不機嫌になる。それがあまりにも続いた為、いつしか戦勝の宴を行うことはなくなった。戦勝の喜びは、多くの人にとっては勝利よりも生への喜びが強いだろうが、とにかくそれぞれが胸の中で噛み…

悪役令嬢に恋をして 第55話 マリアの焦り

ニガータ防衛戦の勝利を祝っての宴、は今回開かれなかった。本隊を率いていた王国騎士兵団長が望まなかった事、そして、それに誰も文句を言わなかったからだ。 マリアたちは王国騎士兵団長と同様に勝利の喜びよりも、リオンに出し抜かれた事への悔しさの方が…

四季は大地を駆け巡る #62 非道

王城の奥にひっそりと立つ離れの塔。行き交う人はほとんどいない。その塔の中に豪奢な家具で彩られた一室がある。国王の妃であるエリザベートの寝室だ。 本来であれば男子禁制であるその場所にアレックスはもう何度も通っている。この事実が表沙汰になれば間…