運命というべきか、設定というべきか。とにかく、この世界に働く理不尽な力にリオンは怒りを覚えている。 とにかくマリアにエアリエルを近づけないことだ。そう考えて、リオンなりに様々な努力をしているつもりなのだが、それは悉く無になっている。 事ある…
エアルたちが大森林に帰ってきた。まっすぐに拠点に戻ってくるものだとヒューガは思っていたのだが、彼女たちは大森林の外縁部に留まったまま。逆にヒューガに来て欲しいと伝えてきた。 何か問題が起きたと考えて、急いでやってきたヒューガ。エアルたちから…
まだ辺りは暗く、天には星が瞬いている。静まり返った校舎の裏庭。森と見間違うほどに豊かに生い茂る木々の間を、リオンの振る剣の風切音が響いていた。 ここがリオンの毎日の鍛錬の場所だ。 朝の鍛錬は、もっぱら体力づくりと素振りなどの基礎が主なものと…
ドュンケルハイト大森林の外縁も外縁。出口にあたる場所にヒューガたちは立っている。今日はいよいよエアルたちが出立する日なのだ。 旅支度を整えたエアル、ハンゾウたち十一人は彼等が大森林に入るときに使った隠し通路から外に出て行くことになっている。…
次から次と馬車が到着しては荷物を降ろしていく。その荷物とそれを運ぶ人々で、校門の前はごった返している。 毎年、入学の時期に見られる光景だ。 混雑を避ける為に校門から少し離れた場所で、リオンはヴィンセントと並んで立って、その光景を眺めていた。 …
先生が拠点から姿を消した後も、ヒューガたちは厳しい鍛錬を続けている。寂しさを感じていないわけではないが、鍛錬に限っては、以前よりも気合が入っているくらいだ。先生が戻ってくることがあった時、情けない姿を見せるわけにはいかない。皆がこんな思い…