エルフの都での騒動から一ヶ月は過ぎているが、特に何事もなく毎日が過ぎている。 カルポは結局ここに残ることになった。しかも僕を正式な主として仕えるとまで言ってきて。 ゲノムスと相談して決めたと言われたので、この場所に残ることについては文句はな…
正式な勅命を受けて、グレンは国軍を退役し、勇者付の騎士となった。 新しい職場は、騎士団官舎に一室を設けられている。厚遇といっても良いが執務室を与えられたからといって、そこでは何もすることはない。勇者の鍛錬に付き合って、騎士団の調練場に居るこ…
学院の強化合宿は、合宿所までの往復の行程を除いて、わずか一日で終了した。リーゼロッテのグループを襲った魔物襲撃事件の影響だ。 合宿地は一般の人が登山を楽しむ行楽地でもある。そんな場所に魔物の集団が出現したのだ。事は学院内で処理出来るような問…
グレンは三一○一○中隊の小隊長を集めて、定例のミーティングを開いていた。退役を望んでいるからといって仕事に手を抜くことはない。それどころか、今の内に出来ることは全て終わらせておこうと、以前よりも仕事に注力していた。 「体力向上訓練の方はどうで…
拠点の扉が開いた。そんなものがどこにあるのかと思っていたら、寝泊りしている一番大きな建物に地下に通じる隠し階段があった。ルナは良くこんなの知ってたな。 早速、それを使ってエルフの都に行ってみることにした。行くのは僕とルナ。カルポは……先生から…
今日もいつも通り、早朝から起きて裏庭で鍛錬を行っているグレン。いつもと異なるのはその動き。激しい動きは抑えて、ゆっくりと一つ一つの動きを確かめるようにして、それを行っていた。 「何だか自分の体じゃないみたいだ」 自分の体の違和感にかなり戸惑…