ヒューガは待ち合わせ場所で魔族、先生と合流した後、すぐに転移で鍛錬場とした場所に跳んだ。そこはかつてエルフの拠点だった場所。はじめにヒューガがイメージした通り、砦と呼ぶに相応しい造りをしている。 パルス王国との戦い以後、百年は放置されたまま…
今日は国軍の休養日だというのに、グレンは騎士団官舎を訪れていた。バレル千人将の侍女サラとの待ち合わせの為だ。 約束の時間はもうとっくに過ぎている。どうやらすっぽかされたようだとグレンは判断した。軍を退役しようとしている話は当然、侍女は知って…
目の前には腰に手を当てて仁王立ちのセレ。最近、何度も見ている光景だ。正直、何故ここまでセレに怒られなければならないのかヒューガには分からない。本人は特別、悪いことを行っているつもりはなく、ただ流れに身を任せているだけなのだ。その流れが異常…
ドーン元中隊長の家を出て、宿屋に戻るグレンの足取りは重い。表には出さなかったが、心の中では大きく動揺していたのだ。 地方貴族から逃げているグレン。だが逃げなければいけない相手は、地方貴族どころか国そのものであったのだから動揺するのは当たり前…
監察官が期限をむかえて、すごすごと帰って行った翌日。グレンは,ドーン元中隊長の家を訪れていた。監察の結果の報告と、その成功報酬を受け取るためだ。 「いくつか指摘はされましたが、それで中隊長が罪に問われることはないはずです。よくある計算ミス、…
部室を訪れる者たちもすっかり少なくなったわ。 あの女との対戦で負けてから、私とあの女との力関係は完全に逆転した。ある者はあの女が被っている偽善に騙されて、ある者はあの女が垣間見せた裏の顔。その力を恐れて。 かつては信頼できる友人であったエカ…